配置転換したDeNA山崎の再生方法は? 専門家が語る守護神復活への道

DeNA・山崎康晃【写真:津高良和】

巨人で活躍し、楽天ではヘッドコーチを務めた松本匡史氏が解説

■DeNA 3-2 巨人(29日・東京ドーム)

DeNAが敵地での巨人戦で3-2で勝利し、借金を1に減らした。15年のプロ入り以来、6年連続で守護神を務めてきた不調の山崎康晃投手を、ラミレス監督が配置転換。この日は1点リードの7回に3番手として登板し、1イニングを1安打無失点に抑え、勝利に貢献した。巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球評論家の松本匡史氏は山崎の状態について、フォームのブレによってリリースポイントが一定になっていないことが制球難につながっていると指摘。その上で「精神的に強い選手。(不調の)原因を見つけられれば元のポジションに戻せる」と明かした。

開幕から約6週間。守護神を任されながら調子が上がらず、今季12試合の登板で、リーグトップの6セーブながら早くも3敗を喫し、防御率8.74だった山崎が、ついに抑えからセットアッパーへとポジションを変えた。

この日の出番は6年間、慣れ親しんだ9回ではなく、7回だった。先頭のパーラを投ゴロに仕留めた後、代打・重信にボテボテの遊安を献上。その後、盗塁を許し、1死二塁と一打同点のピンチを迎えたが、続く丸を空振り三振。暴投で走者に三塁進塁を許したが、坂本を中飛に抑え、無失点でベンチに戻った。

では、今季、苦悩のピッチングを続けてきた山崎を評論家の松本氏はどうみているのか。その目には、投球フォームの不安定さが不調の原因だと映っていた。

「今日の投球を見ても、まだボール球が多く、いい時の山崎の状態ではないと思う。(原因は)技術的なものじゃないかな。投げる時に上体が左側に倒れる。軸足から前の足に体重が乗っていく時に、上体が倒れるのが早い分、胸の張りがなく、倒れながら腰がひけている。体が一塁側に流れてしまい、リリースポイントが一定にならないことで、コントロールがつかないのではないかと思う。投げ方が悪いのなら修正していかないといけないですね」

投球フォームの修正が自身の課題、もうひとつは首脳陣の信頼

その上で松本氏は「彼は精神的には強いと思う。打たれているところを見ても、コントロールが思うようなところに投げられていないが、その原因が何なのかを見つけられれば(調子は)戻ってくる。少し楽なポジションで技術的なものを取り戻し、少しずつでも結果が出せれば、また元のポジションに戻れると思う」と話した。

また松本氏は、今シーズンがコロナ禍の影響で開幕が約3か月遅れてのスタートとなったことも影響しているのではないかと指摘する。選手たちはコンディションを整えるのが難しく、不安な胸中でシーズンに入っている。少しでもその不安を取り除くことができるのであるならば、それは「信頼」という2文字だ。

「(コロナ禍でも)チームは勝たないといけない。その中で(調子の上がらない山崎の起用を)どうしていくかは監督、チームが考えること。(状態が悪い時に)2、3日休ませるのか、今日のように少し前にもっていくのか。それはチーム、特に監督がはっきり形として示すことができれば、周りが何を言おうと、それでいいと思う。彼のことをチームがいろいろ考えてくれているということは、それだけ頼りにされているということ。それを彼がどう捉えるかでしょうね」

DeNAだけでなく侍ジャパンでも抑えを務めてきた山崎。昨年まで5年連続で50試合以上に登板し、安定した成績を収めてきただけに、チーム内での信頼度も抜群だ。まずは調子を取り戻し、守護神の座に1日でも早く戻る日をファンは待ち望んでいる。(Full-Count編集部)

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