ミドル世代が始めてみたい運動・スポーツの一番人気はウォーキング

新型コロナウイルスにともなう緊急事態宣言が解除されて以降も、人混みを避け、不要な外出を控える生活を続けている方も多いと思います。外出の自粛等で自宅に籠りがちな日々が続いた方の中には、自身の運動不足がふだん以上に気になった方もいたのではないでしょうか。

そこで今回は、昨年11月にスポーツ庁が行った「スポーツの実施状況に関する世論調査」の結果から、身体面の運動不足についての意識に関する調査結果とともに、身体面の健康づくりを通じた精神面へのリフレッシュ効果について考えてみたいと思います。


ふだん運動不足を感じているミドル世代は8割超

今年2月に公表されたこの調査によると、ふだん運動不足を感じている人の割合(「大いに感じる」「ある程度感じる」の合計割合)は、ミドル世代では8割超を占めます(図表1)。

この調査が行われたのは、今回の新型コロナウイルス問題が広がる前の2019年11月です。当時のふだんの生活に関し、運動不足を「大いに感じている」と答えた人は、男性では40~50代のミドル世代をピークに4割近くを占める一方、女性では30~40代で半数を超え、70代を除き同年代の男性を上回っています。

今後始めてみたい運動・スポーツ―1番人気は「ウォーキング」

続いて40~50代のミドル世代が今後行ってみたいと答えた運動・スポーツの種目についてみてみましょう。この調査では計60もの多様な選択肢をあげて今後の実施意向をたずねています。

図表2はこのうち全体の回答率が5%を超えた項目を40~50代の男女に関してグラフ化したものです。これをみると、男女とも最も多くあげられたのは「ウォーキング」で、ミドル世代では男性のおよそ4人に1人、女性ではおよそ3人に1人が行ってみたいと答えています。

男性では「トレーニング」「ランニング」「自転車」も人気

また、「ウォーキング」以外の項目をみると、男性では「トレーニング」「ランニング・マラソン・駅伝」「自転車・サイクリング」等が比較的多くあげられています。一方、女性では「エアロビクス・ヨガ・バレエ・ピラティス」や「トレーニング」「体操」等が多くあげられています。

これらのうち、男女に共通して最も多くあげられた「ウォーキング」や、男性で多くあげられた「ランニング・マラソン・駅伝」「自転車・サイクリング」等は、季節とともにうつりかわる自然やまちなみの様子を感じながら行えることも魅力の1つでしょう。

他方、女性で多くあげられた「エアロビクス・ヨガ・バレエ・ピラティス」や「体操」は、季節や天候によらず屋内で行えることが、人気の理由かもしれません。

上位種目には、感染を防ぎながら行える活動が多い

緊急事態宣言が解除されて以降、社会経済活動や人々の外出の自粛についても、段階的な緩和の動きが進んでいます。しかしながら、運動やスポーツの中には、コロナウイルスの問題が広がる前と同じ形では行えない状況が今も続いているものも少なくありません。

このようななかミドル世代をはじめ、この調査が行われた時点では最も多くの人が行ってみたいと答えた「ウォーキング」のほか、「ランニング・マラソン・駅伝」「自転車・サイクリング」「エアロビクス・ヨガ・バレエ・ピラティス」や「トレーニング」「体操」等は、やり方や行う場所の環境を工夫することで、感染を防ぎながら行いやすい活動であることも、その特徴としてあらためて注目されます。

巣ごもり生活が高めた、心身の健康づくりに対する関心

新型コロナウイルスにともなう緊急事態宣言下の生活を通じて、外出の自粛等により自宅で過ごす時間が長くなった人が増えたことは、心身の健康づくりに対する人々の関心を高めることにつながった面もあるのではないでしょうか。

気温が上がる夏を前に、時間帯や場所、環境等を工夫して身体を動かす機会をもつことは、身体面の健康づくりのみならず、精神面でのリフレッシュを通じて、心の健康をよりよく保つことにもつながります。感染不安や以前とは異なる生活に慣れるまでの緊張感やストレスに向き合っていく上でも、心強い対策になりそうです。

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