住民「当然の対応」 延岡・西臼杵外出自粛要請

 延岡市で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことなどを受け、県は2日、延岡・西臼杵地域を「感染状況が厳しい圏域」に指定した。住民は一定の理解を示したものの、感染拡大が止まらない現状に緊張感をにじませ、同市役所も感染症対策本部会議を招集するなど対応に追われた。
 河野知事の会見が県庁で始まった午後4時から、延岡市は感染症対策本部会議を開き、屋外施設の閉鎖などを決定。同会議後、会見に臨んだ読谷山洋司市長は「最悪の事態の一歩手前。何としても感染を止めなければ」と危機感をあらわにした。
 県と市は延岡・西臼杵地域の住民に「できる限りの外出自粛」を要請。
 延岡市大貫町3丁目、そば店経営中山優治さん(74)は「感染確認が続いていたので、3日に予定していた児童養護施設の子どもたちへのそば振る舞いを中止した。(外出自粛の要請などは)一刻も早い封じ込めには当然の対応」とした上で、「国はなぜ手をこまねいているのか」と憤る。
 同市松山町、雑貨店勤務の女性(32)は「これ以上感染者を増やさないことが第一。これまで以上に感染対策に気を配らなければならない」。同市瀬之口町、農業機械メーカー社長の森山慎作さん(43)は「仕事では機械の取り付けでお客さんと接しないわけにはいかないので、互いに最大限注意したい」と気を引き締めた。
 3月を最後に新たな感染者が確認されていない西臼杵郡でも住民は危機感を募らせる。高千穂町岩戸、主婦田中花子さん(72)は「県内の感染拡大に加え、町内では県外からの観光客も増えているので買い物で外出するのも怖い。なるべく外出を控え、自分の身は自分で守るしかない」と身構えた。

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