北陽台高でクラスター 保護者動揺「風評防いで」 町施設閉鎖、住民も不安

教諭1人と生徒10人の感染が確認された長崎北陽台高=長与町

 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した西彼長与町の県立長崎北陽台高。2日までに男性教諭1人と生徒10人の感染が確認され、県教委は17日まで全ての生徒と教職員を自宅待機とし、校内への立ち入りを禁止。同町は公共施設を閉鎖するなど地域への影響も広がり、保護者や住民からは驚きと動揺の声が上がった。
 同校では7月30日に20代男性教諭の感染が確認され、2日までに生徒と教職員のうち計345人を検査。261人の陰性が確認され、74人が結果待ちという。県教委によると、男性教諭は7月27、28日に授業をした際はマスクを着用し、教室は窓を開けて換気をしていた。池松誠二県教育長は「日ごろからガイドラインに沿った対応をしていたにもかかわらず、感染が広がってしまった」と驚きを隠せない。
 同校は生徒836人が在籍。保護者の男性(50)は「風評被害を防ぐためにも生徒全員の検査をしてほしい」と要望。別の40代女性保護者は「学校や先生、生徒の誰が悪いわけではなく、どこにぶつけていいのか」と動揺する。
 同校は2日、生徒と保護者向けにメールで現状を報告。「不確定な情報に左右されず、人権に配慮した適切な行動をお願いしたい」と、感染生徒の特定につながる言動を慎むことや、冷静な対応を呼び掛けた。
 長与町は同日、対策本部会議を開き、保育所と放課後児童クラブを除く全ての町有施設を5日まで閉鎖することを決定。初の感染確認となった西彼時津町は、町立小中学校の部活動を当面中止する。長与町の40代自営業男性は「大変ショック。どこまで広がるのか。細心の注意を払って商売を続けるしかない」と不安を口にした。


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