ピレリ、F1イギリスGP終盤に相次いだパンクを調査「すべての可能性を検討しなければならない」

 ピレリのレーシングマネージャーを務めるマリオ・イゾラは、日曜日にシルバーストンで行われたF1第4戦イギリスGPの終盤に起きたタイヤトラブルについて、“360度”にわたる調査を実施すると述べている。

 決勝レースではメルセデスが1-2フィニッシュを決めるかに見えたが、バルテリ・ボッタスは残り3周のところで左フロントタイヤのバーストに突如として対処しなければならなくなった。

 このインシデントの後、首位を走るルイス・ハミルトンとマクラーレンのカルロス・サインツJr.にも同様のトラブルが起きた。ハミルトンはなんとかマシンをフィニッシュラインまで運び、キャリアにおける87回目の優勝を達成したが、ボッタスとサインツJr.は、ポイント圏外まで順位を下げることになってしまった。

2020年F1第4戦イギリスGP サインツJr.の左フロントタイヤがパンク

 これらすべてのインシデントは、ピレリのハードタイヤが関連しており、長いスティントの終わりに発生した。ほとんどのマシンは、ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)のクラッシュによる2度目のセーフティカー導入中に、新タイヤに交換している。過度のタイヤの磨耗が要因だった可能性はあるが、イゾラは連続して起きたトラブルについて、コース上のデブリが原因だったという説を除外していない。

「我々はもちろん最後の数周で起きたことを調査する」とイゾラは語った。

「いかなる結論でも今話すのは少々早すぎる。原因は激しい磨耗かもしれない。なぜならこのコースで38周走ったタイヤは確実にかなり磨耗する。だが磨耗が問題の原因であるとは言っていない」

「デブリの可能性もある。キミ(ライコネン)のフロントウイングの破片やその他のデブリがコース上にあったからだ」

「これが、トラブルが起きたタイヤだけでなく、最後の数周で使用されたすべてのタイヤについて我々が調査を行いたい理由だ。他の傷や、何が起きたのかを示す可能性がある他の点について把握したい」

「360度にわたってすべてを分析し、いかなる可能性も除外したくない。なぜならこうした調査において大きな誤りとなるからだ。我々はすべての可能性を検討しなければならない」

「我々にできるのは、レースで使用されたタイヤを分析し、タイヤ構造のなかに過度のストレスやその他のことを引き起こすものがないかどうか把握することだが、これは調査の一部でしかない」

 またイゾラは、磨耗の問題が、デブリに対するタイヤの強度をいっそう脆弱にした可能性があるとほのめかした。

「明らかなのは、完全に磨耗したタイヤというのは、タイヤ上のトレッドによる保護が減ってしまうということだ」

「だから何かのデブリや小さなカーボンの破片がコース上にあると、タイヤは簡単に損傷する。コードを守るべきラバーがタイヤに残っておらず、一部のコードがタイヤ上で目に見えるほど露出してしまうからだ」

「それが、私が磨耗の度合いが100%に近いと考える理由だ」

2020年F1第4戦イギリスGP決勝 バルテリ・ボッタス(メルセデス)のタイヤがパンク

 シルバーストンでの2戦目が数日後に控えているなか、ピレリはこの調査を一刻も早く実施するとイゾラは語った。

「コースにある我々のラボで、いくつか分析を行う可能性がある」

「調査を続けるのにそれほど時間が残されていないのははっきりしている。次のレースが1週間もしないうちに行われる。そのため、できる限り早く結論を出さなければならない。何かしら十分な結論を明日までに、もしくは遅くとも火曜日までに出すことが目標だ。それが計画だ」

「もしテスト走行が必要となっても、ここのコースで走らせるのは難しい。我々の施設やラボのあるミラノのトラックですぐにも走らせることになるだろう。インドアテストもできるし、あそこならさらに多くのテストを実施できるので、可能性が広がるのは明らかだ」

「だが私はコースにある我々のラボでもかなりの指標を得ることができると確信している」

 ピレリは第5戦70周年記念GPではソフト寄りのタイヤ選択を提供する。だがイゾラによれば、計画を変更すべきかどうか決めるのは早すぎるという。

「現時点では不明な点が数多くある。トラブルの原因がどこにあるかということが影響してくる。我々は適切に対処しなければならない」

「だがたとえば磨耗について話をするなら、対処は変わってくる。その場合は今日使用したのと同じタイヤを使っても問題ないだろう。もしくはソフトよりのタイヤにしたら、各タイヤはマシンによっては最大周回数を走ることができる。マシンごとに異なるのだ」

2020年F1第4戦イギリスGP 優勝したルイス・ハミルトン(メルセデス)、パンクしたタイヤをチェック

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