エクストリームE:ユナイテッド・オートスポーツ、提携先のアンドレッティに参画しEVオフロード戦へ

 来季2021年の創設を目指しているフル電動SUVによる独創的オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』に向け、すでに参戦表明済みだった北米トップチームのAndretti Autosport(アンドレッティ・オートスポート)が体制変更をアナウンス。業務提携を結んでいるザック・ブラウン率いるUnited Autosports(ユナイテッド・オートスポーツ)とジョイントし、エントリー名をAndretti United Extreme E(アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームE)へとアップデートすると発表した。

 この4月にも新生EVシリーズへの関与を発表済みだった北米のビッグネームは、すでに他カテゴリーでも共闘関係にあるイギリス系チームとジョイント。ABBフォーミュラE選手権参戦で培われたアンドレッティの持つ電動系ノウハウと、スポーツカー耐久やツーリングカーなどを中心に活動してきたユナイテッドの組織力を活用し、新たな体制で電動SUVでの勝負に挑む。

 マクラーレンF1のCEOを務めるザック・ブラウンは、このユナイテッド・オートスポーツの共同創業者でもあり、チームはWEC世界耐久選手権やELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズなどで活躍。そのほかにも多くのチャンピオンシップに参戦し、フェルナンド・アロンソやファン-パブロ・モントーヤ、ポール・ディレスタにランド・ノリスなど錚々たるドライバー陣とともに戦って来た。

 また、アンドレッティ・オートスポートとはオーストラリア大陸でも共同戦線を張り、地元が誇る世界的人気ツーリングカーのVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーにも参戦中。ホールデン陣営のトップチームだったWalkinshaw Racing(ウォーキンショー・レーシング)に資本参入し、全チーム名を冠したWalkinshaw Andretti Unitedのエントラント名でシリーズを戦っている。

 こうしたバックボーンにより、ふたつのチームは新たなオフロードEV戦でもシームレスな融合を見せると期待されており、アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEには両チームから経験豊富なクルーが配属される予定だという。

 アンドレッティ・オートスポートの会長兼CEOのマイケル・アンドレッティも「再びザック(ブラウン)やリチャード(ディーン/United Autosports共同創業者)ら、ユナイテッドのファミリーと提携できることを本当にうれしく思う」と、歓迎の意を示した。

数々のカテゴリーで共闘して来たAndretti AutosportとUnited Autosportsが、このExtreme Eでも共同戦線を敷く
2019年のVASC『バサースト1000』には、アライアンスを活用してアレクサンダー・ロッシ、ジェームス・ヒンチクリフがWalkinshaw Andretti Unitedからワイルドカード参戦を果たした

「我々は過去数年間にわたり、さまざまなプログラムで一緒に作業する機会を得て来たが、エクストリームEでのこの新しい冒険は両チームが再集結するのにふさわしい、もっともエキサイティングな機会と言えるだろうね」とアンドレッティ。

「どちらの組織も、モータースポーツのさまざまな分野で強力な経験を有しており、このアライアンスチームの取り組みは新生オフロードEVシリーズの第一歩から強力なコンテンダーになれると確信している」

 一方、ユナイテッド・オートスポーツのチームオーナー兼代表のブラウンも「この新生オフロードチャンピオンシップは非常に魅力的に見えるし、アンドレッティと協力してそれを実現できることを光栄に思う」と、新チーム発足の喜びを表現した。

「我々ユナイテッド・オートスポーツも、ここ数年は電動レーシング・カテゴリーへの参入を検討して来たが、アンドレッティはフォーミュラE初年度からの努力によって、あらゆるノウハウや関係各所との繋がりを有している」

「新会社の設立により我々は一層緊密に協力し、両チームはエクストリームEを戦う上で平等なパートナーシップを得ることになる。新チームとともに、この新たな冒険の旅を始めることが本当に楽しみだ」

 新生アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEチームは、今後数カ月以内にチームパートナーや男性/女性デュオで構成するドライバーに関して発表を行なう計画で、12月に予定される最初のテストラウンドに照準を合わせ、シリーズのテクニカルパートナーであるスパーク・レーシング・テクノロジー(SRT)が設計製造を担当したワンメイク車両『ODYSSEY 21』の供給を受ける。

 ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(WAE)社製のバッテリーや電動コンポーネントを搭載したこのマシンは、400kw(550hp)の最大出力により、車両重量1650kg、全幅2.3mの巨体を、斜度130%の登坂路でも0-100km/h加速4.5秒で“射出”するパワーを秘めている。

すでに発表されていたAndretti Autosportのカラースキーム(写真)を残しつつ、ユニオンジャックを思わせるラインが加わった
現在もBMW i Andretti Motorsportを率いてフォーミュラEを戦うマイケル・アンドレッティ

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