県内最低賃金、1012円に 現行から「1円」引き上げ 神奈川県

県内の最低賃金の推移

 神奈川地方最低賃金審議会(会長・盛誠吾一橋大学名誉教授)は5日、2020年度の県内の最低賃金について、現行から1円引き上げて時給1012円(前年度比0.1%増)に改定するよう神奈川労働局の園田宝局長に答申した。新型コロナウイルスの影響が広がる中で数円単位での攻防が繰り広げられたが、最終的には1円の引き上げで決着した。

 審議会、専門部会で計7回の審議を実施。専門部会では使用者側、労働者側がそれぞれ推薦する委員のほか、弁護士や大学教授らの公益代表の委員が選ばれ、議論を重ねた。

 答申などによると、使用者側は「新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞している。最優先すべきは事業の継続と雇用の維持」「かつてない危機的な状況で賃金を引き上げるべきではない」と主張。

 一方、労働者側は「誰もが生活不安、雇用不安を抱えており、とりわけ最低賃金やそれに近い賃金で働いている人たちは大きな影響を受けている」「コロナ禍においても食品店の販売員や宅配業者などエッセンシャルワーカーと呼ばれる人は最低賃金に近い賃金で懸命に働いている」と強調し、引き上げを求めた。

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