五島市の施設10円売却 差額支払い求め 政治団体が提訴

 五島市が昨年、不動産鑑定評価額168万円の市有農業施設を市内の農業法人に10円で売却したことを巡り、市内の政治団体は5日までに、野口市太郎市長が差額の167万9990円を市に支払うことなどを求める住民訴訟を、長崎地裁に起こした。
 同団体は今年3月、同施設の適正価格を算出し、野口市長が差額を市に返還するよう求め住民監査請求。市監査委員は不動産鑑定士に査定させた168万円を適正価格と判断し、野口市長に対して市に差額を払うか、10円での売却について市議会の議決(追認)を得るよう勧告していた。
 野口市長は6月定例議会に追認を求める議案を提出し、賛成多数で可決。一方で同団体は「市民が受けた損害は回復されておらず、市長が差額を支払わない理由も明らかではない」と主張し、結果に不服があるとして提訴した。市に対し、農業法人との売買契約の解除なども求めている。
 野口市長は「訴状を見ていないのでコメントできない」とした。

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