長崎県の「貯金」 財政調整3基金の残高214億円 4年連続で減少 2019年度決算見込み 歳入、歳出は増加

 長崎県は5日、2019年度の一般会計決算見込みを発表した。歳入、歳出額とも前年度から増加し、実質収支は約9億3600万円の黒字となる見込み。ただ、数値が高いほど財政的余裕がないことを示す経常収支比率は97.9%で依然として高い。「貯金」に当たる財政調整3基金の残高は214億円。収支改善の取り組みで取り崩しを前年度の22億円から11億円に圧縮したが、4年連続で減少した。
 歳入は前年度比1.5%増の約7114億6千万円。県税は、個人県民税、地方消費税などの減少で約16億円減ったが、過去最高だった前年度に次ぐ約1196億円だった。国からの地方交付税は約46億円減少。国庫支出金は防災、減災に関する国土強靱(きょうじん)化対策など国の経済対策に伴う公共事業費が約82億円増加したほか、参院選執行委託費約7億円などを含めると約108億円増。歳入に占める自主財源の割合は国庫支出金などの増加で、全国平均46.8%(18年度)に対し、32.3%と厳しい状況が続いている。
 歳出は、前年度比1.7%増の約6960億円。新県立図書館整備などが終了する一方、国の経済対策に伴う公共事業費で約173億円の増、長崎署整備費などで約16億円増加した。
 県債残高は約1兆2360億円で、ほぼ前年並み。県民1人当たりでは約91万5千円。臨時財政対策債を除く実質的な県債残高は約7900億円で2年ぶりに増加した。
 基金残高はピークだった02年度(601億円)の半分以下。県は21年度までに基金を取り崩さない財政運営を掲げているが、県財政課は新型コロナウイルスの影響による経済状況の悪化を懸念。「慎重に推移を見極めたい」としている。

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