中日根尾の定位置奪取へ求められるのは燕・村上流起用法? 打撃不発も好守連発

中日・根尾昂【写真:荒川祐史】

1学年上の燕・村上は昨季打率.231も起用され続けて36発96打点

中日の2年目・根尾昂内野手は6日、敵地・横浜スタジアムで行われたDeNA戦に「8番・左翼」で出場して2打数無安打。5回の守備中に交代を命じられ、ベンチに退いた。今季1軍初昇格後、3試合連続スタメン出場となったが、計8打席ノーヒット。打撃では全くいい所がなく、高校時代に主に「投手兼遊撃手」として通算3度の甲子園制覇に貢献した男は皮肉にも、最もキャリアの浅い外野守備でアピールした。

鳴り物入りでプロ入りした根尾だが、1年目の昨季は故障で出遅れ、1軍では2試合出場2打席2三振に終わった。今季は初昇格した4日の同カードに即「1番・右翼」で先発し、見逃し三振、三飛、遊ゴロ。翌5日は「8番・左翼」で二ゴロ、空振り三振、空振り三振。守備では試合途中に二塁へ回った。6日も同じく「8番・左翼」で二ゴロ、一ゴロに倒れると、首脳陣は5回の守備中、投手交代のタイミングで、2番手投手の谷元を8番に。表の攻撃で最後の打者だった根尾に代えて遠藤を9番・左翼に入れるダブルスイッチを行った。

いまリーグ最下位をに沈む中日にあって、スター候補の根尾は数少ない“売り物”。ファンにとっては「同じ負けるなら、根尾を1打席でも多く見たい」というのが本音で、試合中盤での交代は納得がいかないかもしれないが、この日の根尾の2打席はまるでリプレーを見せるかのように、いずれもカウント1-2から真ん中低めのフォークを打たされ内野ゴロ2つ。ヒットが出そうな雰囲気が感じられなかったも事実だ。

一方、左翼守備では美技を2つ演じた。1回2死満塁の大ピンチで、倉本が放った左翼線際の大飛球を前進守備の位置から追いかけ、逆シングルでランニングキャッチ。与田監督は試合後、「スタートが良かったし、打球に対して無駄な追い方がなかった。あれは本当にいいプレーだった」と感嘆した。

与田監督は好守連発を評価「十分ホントに力を発揮してくれたと思います」

さらに、3回2死二塁で倉本が左前打を放ち、二塁走者のソトが一気に三塁を蹴ると、根尾は本塁へワンバウンドでストライク送球。見事に本塁でタッチアウトにした。与田監督はこちらも「もともと肩が強く、コントロールも非常にいい。十分ホントに力を発揮してくれたと思います」と評した。

高卒1、2年目の打者がプロの投手のスピードや変化球のキレについていけないのは、珍しいことではなく、根尾も悲観する必要は全くない。それどころか、打つだけの選手は不振に陥れば即2軍だが、守りのうまい選手は出場機会を得やすく、根尾のように内・外野の複数ポジションをこなせるとなれば、なおさら。“本職”の打撃の開眼に、守備が一役買う可能性がある。

また、根尾より1学年上のヤクルト・村上は、セ・リーグ新人王に輝いた昨季、最下位に終わったチームにあって、36本塁打96打点でブレークする一方、セ・リーグ新記録の184三振を喫し、打率はリーグワースト(規定打席数以上)の.231。守っても15失策を犯した。監督を務めた小川淳司氏(現GM)は「もしチームが優勝争いをしていたら、あそこまで我慢できなかったかもしれない」と吐露したが、その甲斐あって村上は今季、6日現在でリーグ2位の38打点、打率.326をマークするなどさらなる成長を見せている。根尾が今季中にどれだけチャンスを与えられ、レギュラーに近づけるかは、今後のチーム成績に左右されるのかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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