『打倒トムス』に燃えるトヨタGRスープラ陣営内のバトル。早くもシリーズの勝負どころに【スーパーGT第2戦富士プレビュー】

 約3ヵ月遅れで開幕した2020年のスーパーGT第1戦富士から3週間が経ち、今週末いよいよ第2戦が再び富士スピードウェイで行われる。開幕戦は事前の予想以上の強さをトヨタGRスープラ陣営が見せ、トップ5を独占したが、この第2戦ではウエイトを積んだGRスープラ陣営に対して、ホンダNSX陣営とニッサンGT-R陣営の巻き返しが期待される。

 とはいえ、開幕戦でのスープラ陣営の強さを見るとウエイトを積んでいたとしてもスープラ×ブリヂストンタイヤのパッケージが高いパフォーマンス見せ、今回も表彰台圏内に食い込んでくる可能性は高いだろう。

 第2戦でウエイトを積むスープラ×ブリヂストンタイヤのパッケージ勢は第1戦でワン・ツー・フィニッシュを飾ったトムス勢のKeePer TOM’S GRスープラが42kg、au TOM’S GRスープラが30kgのウエイトを積む。さらに3位に入ったWAKO’S 4CR GRスープラは22kg、4位のZENT GRスープラは16kg、5位だったDENSO KOBELCO SARD GRスープラは12kgだ。

 この5台のなかで一番ウエイトが軽いDENSO KOBELCO SARD GRスープラで、ウエイトハンデの面ではもっとも可能性が高い。DENSO GRスープラは新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限で来日できないヘイキ・コバライネンに代わって開幕戦では山下健太がスポット参戦。第2戦ではコバライネンは引き続き来日することができず、さらに山下もWECスパと日程が近くて参戦できないため、昨年GT300クラスでタイトルを争ったK-tunes Racingの阪口晴南に白羽の矢が立った。阪口は今回がGT500デビュー戦となるが、果たしてどんな走りを見せてくれるのか楽しみだ。

コバライネンの代役として第2戦でGT500デビューを果たす阪口晴南

 そしてGRスープラ陣営内で今回優勝争いに絡んできそうなのが、2台体制となったセルモのWAKO’S 4CR GRスープラとZENT GRスープラだ。それぞれの陣営に開幕戦の振り返りと第2戦に向けた抱負を聞いた。

2020年スーパーGT第2戦富士 WAKO’S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)

 今季、ディフェンディングチャンピオンチームに移籍し、開幕戦でもレースの強さを見せたWAKO’S 4CR GRスープラをドライブする坪井翔は「22kgならまだ勝てるレベルだと思っています。クルマもとても仕上がっているし、十分勝つチャンスはあると思っています。自分としてもGT500でまだ勝ったことがないので早く1勝したいですね。前回のレースでもそうでしたが、ウチのチームは決勝レースで強いと思っています」と語る。

2020年スーパーGT第2戦富士 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)

 さらに、GRスープラの開発を務めるZENT GRスープラの立川祐路は前回の反省を生かしつつ、「マシンのセットアップを見直してきた」と自信を見せる。

「僕たちはセパンテストから3月のテストまではとてもマシンの状態が良かったのですが、開幕戦前に鈴鹿で行われたテストのときにトラブルがあり、少しドタバタしてしまった。それを直しきれず、シーズンオフの状態から少し違う状態のマシンで開幕戦を迎えてしまいました。前回の結果にはその影響があったと思います」

「ただ、今回に関してはシーズンオフの状態に近い形のマシンを持ち込んでいます。前回の結果が残念だった分、今回はという思いはある。トムス勢は他に比べて多くウエイトを積んでいるけど、それでも速さはあると思う。中途半端にウエイトを積んでいては勝てないしランキングも上に行けない。今回、ウチはまだウエイトハンデの大きな影響はないと思うのでここで勝っておきたいですね」

 開幕戦で安定した強さを見せたトムス勢が他より多くウエイトを積んでいる第2戦。好調GRスープラ勢で『打倒トムス』に燃えるチームが結果を残すのか。はたまた他メーカーが復調を見せるのか。ウエイトハンデ42kgを搭載するKeePer TOM’S GRスープラの順位にも注目しつつ、まずは明日の公式練習と予選に注目したい。

2020年スーパーGT第2戦富士 今シーズンから2チーム体制となったWAKO’S 4CR GR SupraとZENT GR Supraのピットの様子

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