先日、ステーファノ・ピオーリ監督との契約を延長したミラン。それまではラルフ・ラングニック氏を「全権監督」として招聘するというプランで動いていたものの、成績が向上したことによって方針を急遽変更したという。
そこで話題になったのが、今年3月にミランから解雇された取締役のズヴォニミール・ボバン氏だ。
彼はオーナーのエリオット・マネージメントやイワン・ガジディスCEOらのラングニック招聘計画に公然と反対の意思を示し、経営陣と激しく衝突。強硬にピオーリ続投を主張したために契約を解除されていた。
ところが、結局のところミランはボバン氏が訴えたとおりにピオーリを続投させ、ラングニック氏との交渉を打ち切ることに…。
『Gazzetta dello Sport』はそのボバン氏のインタビューを掲載しており、その中ではこんなことが語られているそう。
ズヴォニミール・ボバン
「ステーファノ・ピオーリは素晴らしい人物であり、素晴らしいコーチなんだ。彼が契約書にサインしたあとに話したよ。私も幸せに思った。
明らかに彼は素晴らしい仕事をしたから満足しているよ。結局のところ、彼は本当に困難な時期に選択された。それからチームをこれだけ改善させたのを見られてよかった。
ピオーリが留任する理由は山のようにあるが、何よりも彼自身がいい監督であることを示したからだ。ともに仕事を楽しむ時間は短かったが、それも物事の成り行きだよ。
試合の内容も素晴らしかった。ミランを見て本当に愉しんでいたよ。ファンとして、勝者であるミランがいるべき場所に帰れることを夢見ている。
それにはまだまだ投資が必要だが、その基盤は整った。イタリアとヨーロッパでチャンピオンになるために、30~40%の歩みは進めたと思う。
(結局ミランはあなたの言ったとおりに物事を進めている。衝突して辞めることになったのを後悔している?)
絶対にそんなことはない。同じ状況になればもう一度やるよ。当時は完全に理解されなかったが、私の正しさが証明されたことを嬉しく思う。幾多の困難の中で行なわれた選択は無駄ではない。
サッカーには時間がかかるもの。それを理解し、忍耐を持って待つ。それが出来る人間は多くないんだ。
ミランはまだまだやるべき仕事が残っているが、それが完遂できることを願っている。クラブの歴史の素晴らしさを尊重してくれることもね。
(あなたはマルディーニとともにイブラヒモヴィッチの復帰に尽力した。彼もラングニックが来たら退団すると明言していたが)
昨年の夏以降、少なくとも2名は経験豊富な選手が必要だと言っていたんだ。
イブラヒモヴィッチとシモン・ケアー、そしてアンテ・レビッチがうまく行ったことで、ミランは遥かに成熟したし、自信もついた。その結果、ほとんどの選手がより良い方向に成長した。
2月の段階でイブラヒモヴィッチとの契約延長を訴えていたよ。彼からも紳士的な同意を得ていた。体調が良くなければすぐ引退するという約束とともにね。
イブラヒモヴィッチは天才だ。自然なパワーを備えている。まだ違いを作れる人物だ。ミランに少なくとももう1年残ることは当然だ。
チームは彼の周りにいることで成長する。ラファエウ・レアォンを見ればわかるはずだ。彼は傑出したタレントだが、誰かによる導きが必要なんだ。
だからこそ、我々はズラタンに感謝し、尊敬すべきなのだよ」
後半戦のみのプレーながら、18試合で10ゴールという結果で応えてみせたズラタン・イブラヒモヴィッチ。最終節のカリアリ戦ではPKを失敗したが、それを全く引きずらずに強烈シュートを叩き込んでいる(動画2分~)。
このパワー!見事な打ち抜きである。
ベテランとしてチームに大きなものをもたらしてきたイブラヒモヴィッチ。「最初からオレがいればミランは優勝していた」という発言もあったほどの存在感だった。
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イブラの獲得にしろ、ピオーリの続投にしろ、ボバン氏の主張が辞めた後に受け入れられるという結果に…。それでもミランの成長が嬉しいという彼の潔さに脱帽である。