赤楚衛二◆インタビュー 咲坂伊緒による“青春三部作”の最終章「思い、思われ、ふり、ふられ」が映画化

世代を超えて読み継がれる、咲坂伊緒の伝説的人気少女コミック「ストロボ・エッジ」「アオハライド」は、それぞれ映像化され、大きなムーブメントを巻き起こした。そして、両作の流れを受け継いだ“青春三部作”の最終章、“ふりふら”の愛称で親しまれている「思い、思われ、ふり、ふられ」が、実写&アニメーションでダブル映画化。

明るく社交的な山本朱里(浜辺美波)、内向的でうつむきがちな市原由奈(福本莉子)、クールな山本理央(北村匠海)、爽やかで天然な乾和臣(赤楚衛二)は、同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生だ。親同士の再婚で家族となり、朱里に言えない恋心を抱える理央。そんな理央に憧れるが自分に自信が持てない由奈。和臣にひかれていく自分の感情に戸惑う朱里。ある秘密を目撃してしまい、自分の気持ちにふたをしてしまう和臣──。そんな4人の切ないラブストーリーで、捉えどころのない和臣を演じる赤楚が語る、作品の魅力とは?

「この役をやりたい」と、ここまで強く思ったのは初めて

「この役をやりたい、作品を通して思いを伝えたい、とここまで強く思ったのは初めてでした。家庭内でバランスを取るところとか、気持ちにふたをしちゃうところとか、自分とリンクする部分が多くて。和臣の感情がすっと入り込んできて、演じていてすごく楽しかったです」

監督・脚本を手がけるのは「僕等がいた 前・後篇」「ホットロード」「青空エール」など、少女漫画原作の恋愛映画を次々とヒットさせてきた青春映画の名手・三木孝浩。

「三木監督の作品は、ほとんどすべてを映画館で見ていて大ファンでした。映像の美しさの中に、感情の機微が繊細に描かれていて、心が浄化されるんです。現場もすごく温かくて、みんな仲がよかったですね。リラックスした雰囲気が映像にも現れているんじゃないかなと思います」

内面を見せない和臣という難しい役どころも、監督と意見を交わしながら作り上げていったそう。

「監督には『和臣には三段階の変化がある』と言われました。最初はただの無垢な男の子なんだけど、ある場面を目撃してしまい自分の思いを閉じ込めてしまう。さらにその後、完全に心を閉ざしてしまうんです。そういう心の微妙な変化を、目線や手のしぐさで表現できるよう、話し合いました」

共演者には今をときめく若手俳優が勢ぞろい。顔合わせ初日に連絡先を交換して、親睦を深めていったそう。なかでも理央役の北村の演技には刺激を受けたという。

「ただそこにいるだけでお芝居になっているんです。たたずまいが、もう理央なんですよね。僕はこれまで、『演じよう』とか『爪痕を残そう』とか考え過ぎていたんだと気付かされました。撮影の合間にも、お互いが好きな映画の話で盛り上がりましたね。匠海くんは昔のホラー映画が好きらしく、僕もさっそく観てみたんですけど、めちゃくちゃ怖かったです(笑)」

映画は男女4人の恋愛模様が見どころではあるものの、赤楚が一番印象に残っている撮影は意外にも兄・聡太(古川雄輝)とのシーンだと語る。

「羽ばたいていった兄と、羽ばたけない和臣。憧れと悔しさが混ざり合って、演じながらすごく胸が苦しくなりました。僕も両親に厳しく育てられて、やりたいことを素直に言えない時期があったので、和臣と気持ちが重なったんでしょうね。今なら、当時の自分に『覚悟と勇気を持て』と言ってあげたいし、胸を張ってこの作品を見せられます」

【プロフィール】

赤楚衛二(あかそ えいじ)
1994年3月1日生まれ。愛知県出身。2015年に「ヒロイン失格」で映画デビュー。17年に若手俳優の登竜門といわれている仮面ライダーシリーズ「仮面ライダービルド」に出演し、注目を集める。19年には「わたし旦那をシェアしてた」(日本テレビ系)、「ねぇ先生、知らないの?」(MBSほか)など、立て続けにドラマ出演を果たす。待機作に映画「映像研には手を出すな!」(9月25日公開)がある。

【作品情報】

「思い、思われ、ふり、ふられ」
8月14日全国公開
明るく社交的な山本朱里(浜辺美波)、内向的でうつむきがちな市原由奈(福本莉子)、クールな山本理央(北村匠海)、爽やかで天然な乾和臣(赤楚衛二)。偶然出会ったタイプの全く違う4人は、同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生。1人の告白をきっかけに、それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違ってしまう。切なすぎる“片思い”の行方とは── 。

取材・文/吉田晃子 撮影/堀内亮
スタイリング/檜垣健太郎(辻事務所) ヘア&メーク/廣瀬瑠美

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