【えほんのとびら】 No.208「かいじゅうたちのいるところ」

冨山房
作:モーリス・センダック
訳:じんぐう てるお

 ある晩マックスは、おおかみの格好をして家中大あばれ。あまりの騒ぎにおかあさんは「この かいじゅう!」と叱りつけ、夕ごはんぬきで寝室にほうりこんでしまいました。

 すると寝室が森に変わり、海があらわれ、波が舟を運んできました。マックスは迷うことなく舟に乗りこみ、長い長い航海を続け、たどり着いたのはかいじゅうたちのいるところ。目玉を光らせて迫りくるかいじゅうをものともせず、魔法を使って彼らを服従させ、再びそこで大あばれ。

 この世界は、寝室にとじこめられたマックスの腹立ちから生み出されたもので、感情がたかぶるにつれて一ページに占める絵の割合いが増していきます。マックスの興奮が最高潮に達し、かいじゅうたちとおどりさわぐ見開き六ページには、文章がついていません。

 不満を発散し尽くしたところで恋しくなったのは「やさしい だれかさん」。マックスがかいじゅうたちの世界から寝室に戻ってくると、そこにはおかあさんの準備してくれたあたたかい夕食が待っていました。

(ぶどうの木代表 中村 佳恵)

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