コロナ禍の過密日程で“オープナー”激増? 原巨人に続いてラミレスDeNAが成功

DeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

DeNAは6投手リレーで4失点で勝利、前日には巨人が8人で延長10回2失点

■DeNA 6-4 阪神(10日・横浜)

原巨人に続き、アレックス・ラミレス監督率いるDeNAが10日の阪神戦で、中継ぎ要員を先発で起用する「オープナー」を今季初めて採用。見事に“先発の谷間”で勝利をモノにし、首位・巨人に2ゲーム差の2位につけた。コロナ禍で開幕が約3か月遅れ、過密日程となる今季は、ますます有効な戦術となりそうだ。

ラミレス監督はこの日、中継ぎ要員の武藤を中日在籍時代の2015年以来5年ぶりに先発させたが、試合前から「基本的なプランは2~3回まで。調子が良くて球数も少なければ、それ以上いくかも」と明言していた。

その武藤は3回までを、大山のソロによる1点に抑え降板。4回からは2番手の国吉が登板し、6回2死まで投げて2点を失ったが、4回の攻撃で自ら決勝2点二塁打を放つ望外の活躍。3番手の藤岡が残りの1死を取った。7回は不振で中継ぎ降格中の山崎が1失点、8回はパットンが無失点、9回は三嶋が無失点でつなぎ、計6投手のリレーで、6-4で競り勝ったのだった。

やりくりの苦しい9連戦の7試合目だったとあって、ラミレス監督は「“オープナー”はウチのチームでは使ったことがなかったが、他球団ではやっている。今後も連戦はあるので、先発が苦しい時にリリーバーを先発させるのは一案だと思う」とご満悦だった。

DeNAは“ブルペンデー用捕手”として高城を起用した

前日の9日には巨人の原監督が、やはり中継ぎの宮国を先発に立てて2回を投げさせ、以後、今村、鍵谷、大江、高梨、大竹、中川、田中豊の計8人の継投で延長10回をわずか2失点に抑え、中日と引き分けたばかり。

オープナーは、米大リーグ・レイズが救援投手を1回限定で先発させて手強い上位打線を討ち取り、立ち上がりに不安を抱える先発投手を2回から投入して話題になった。この日のDeNAのようにリリーフ投手だけで小刻みに継投する「ブルペンデー」などの“派生形”がある。日本では昨年、日本ハムの栗山監督が先発投手を打者一巡をメドに交代させるなど、先駆けとなったが、今季はセ・リーグを含めて広く採用されそうだ。

今季のプロ野球は、過密日程の上、開幕前にコロナ禍で自主練習を強いられた影響で、調整不足のままシーズンを迎えた選手も多く、終盤にはスタミナ切れを起こす選手が続出するとの見方もある。となれば、先発投手が1人で試合を担えないならリリーフ投手が束になってまかなう、という発想が今季の場合は例年以上に有用かもしれない。

しかもラミレス監督は“ブルペンデー用捕手”まで用意していた。先発フル出場した高城である。ラミレス監督は「高城はリリーフ陣とバッテリーを組んだ時の防御率が1番いいから」と説明。今後、本来の先発ローテ投手が先発する試合では「高城を“リリーフ捕手”として、試合終盤に使う可能性がある」と語った。

その采配には何かと賛否両論が渦巻くラミレス監督だが、こんな異常事態のシーズンこそ、“策士”の腕の見せ所だろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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