能登半島きっての漁師町、宇出津。
潮風そよぐこの町に、世界のトップソムリエも認めた日本酒を醸す、ひとつの酒蔵があります。
その名は『数馬酒造』。江戸時代から醤油づくりを生業とし、その仕込み水が酒造りに適しているということで、明治2年より酒蔵としての歴史がスタートしました。
現在、蔵元として陣頭指揮を取るのは5代目の数馬嘉一郎さん。都内の大学を卒業後、コンサル系のベンチャー企業に就職。約2年の社会経験を経て、地元にUターン。当時24歳という若さで蔵元に就任しました。
数馬さんが目指すのは「醸しのものづくり」によって、能登の魅力を高めること。
おいしい酒づくりはもちろんのこと、将来にわたって永続的に能登の恵みを享受するため、能登の美しい自然と文化、そして産業を次世代につなぐことを考えています。
その一環として力を入れているのが米づくり。
能登の契約農家と連携し、地域の社会問題にもなっている耕作放棄地を開墾。来年度には仕込みに使用する原料米の100%が能登産となる見込みだそうです。
また、原料米の状態を見極めるため、精米は自社管理にこだわり。高精度な削りを行う吟醸酒などでは、すっきりと雑味のないクリアな味わいを実現しています。
また、地域産業と連携した酒造りも『数馬酒造』の特徴のひとつ。
地元の若手農家と学生のコラボによって生まれた「Chikuha N」や、能登の資源が一体となった「能登未来」のほか、小木のイカや能登牛、ジビエなど、能登の食材の旨味を引き立てる様々な味わいの日本酒をリリースしています。
代表銘柄の「竹葉」を筆頭に、能登の恵みを私たちにシェアしてくれる『数馬酒造』のお酒。その味は清らかで柔らかく、四季折々の料理の魅力を引き出し、食卓に安らぎを与える立役者として、食の時間を楽しく演出してくれます。
なかでも数馬さんが「これだけは飲んで欲しい」とイチオシするのが、海外のコンペティションでも絶賛された、こちらのお酒です。
蔵元の数馬嘉一郎さんがおすすめする日本酒と缶つま
竹葉 能登純米
「竹葉 能登純米」は、力強い味わいとキレのある喉越しを併せ持つ、バランス感覚に優れた純米酒。
2014年にスペインで開催された世界最高峰の食の祭典「マドリッド・フュージョン」では、海外のトップソムリエから「豊かな米の味わいが堪能できる酒」として高く評価されました。
原料は契約栽培された能登産の山田錦と、旧柳田村の山間に湧き出た軟水の仕込み水。このふたつの素材が、代々伝わる酒造りの技によって醸されています。
「冷酒ですと15℃前後がおすすめ。43℃ほどのぬる燗から上燗に温めますと、ほど良い苦味とすっきりとした酸味が引き立って、キレよく味わえます」と数馬さん。
しっかりとした旨味がありながら、香りと後味はすっきりと軽やか。日本酒を飲み慣れていない外国人にも受け入れられている理由がとてもよくわかります。
また、爽やかさとコク深さのバランスが取れていることから、あっさりした料理にも、こってりした料理にも合うのが「竹葉 能登純米」の特徴。白身魚のハーブグリルやカレー、肉料理など、幅広い料理とのペアリングが可能となっています。
カレーにも合うということで、編集部が本日のお供に選んだ缶つまは、カルディの「さばカレー」。
トマトベースのスパイシーなカレーの中に、脂の乗った肉厚なさばの身がドカドカ入ってボリューム満点。濃厚かつマイルドな味わいで、つまみにもぴったりです。
ちなみに能登町は、サバなどの回遊魚を待ち構えて捕獲する定置網漁が盛んな町。テロワールという観点でも、良質なペアリングが期待できるのではないでしょうか。
能登の魅力を世界へ発信する『数馬酒造』のお酒。若き蔵人たちの想いが詰まった一杯を、ぜひ味わってみてください。
数馬酒造(かずましゅぞう)
石川県鳳珠郡能登町字宇出津へ36
TEL.0768-62-1200
営業時間/10:00~17:00(直売所)
定休日/土曜、日曜、祝日
駐車場/あり
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)