オプテージと山陽電車、AI画像解析技術を活用した踏切遮断中の異常検知に向けた実証実験を開始

内閣府の「交通安全白書」によると、鉄道交通の運転事故は長期的には減少傾向であるものの2018年中の踏切における事故発生件数は247件と依然として多く発生している。事故内容としては、自動車との接触が38.5%、歩行者および自転車等の人との接触が55.5%と、事故の半数以上が「人」との接触となっている。株式会社オプテージ、山陽電気鉄道株式会社(以下、山陽電車)および株式会社山電情報センターは、踏切横断における安全性強化を目的に、監視カメラによる遠隔監視およびAI画像解析技術の活用による踏切遮断中の異常検知に向けた実フィールドでの実証実験を2020年8月上旬~2020年10月中旬の期間、実施する。同実証実験では、従来の障害検知システムでは検知できなかった、歩行者やベビーカー、車いすといった「人」を検知できるようAIを活用した画像解析による実地検証を行う。また、画像解析で課題となる雨天時や夜間についても精度が保てるかなど、実フィールド環境での有効性を検証する。なお、検証にあたっては同分野での実績を保有するK4Digital株式会社の協力のもと行う。また、異常検知した際には、接近する列車の運転士に即時発報を行えるよう、現場設備(特殊信号発光機など)との連動性について検証する。処理方式については、検知精度と処理時間の関係を考慮してよりリアルタイムでの処理を実現するエッジデバイスによる画像解析技術を用いて検証を行う。さらに、同実証実験と並行して、運転指令室でのアラート認知・状況確認ができる仕組みも開発し検証する。現場のエッジデバイスから運転指令室までのネットワークにはオプテージのIP-VPNを採用し、セキュアなネットワーク環境を構築するとともに、低遅延で情報収集ができるシステムを目指す。3社は同実証実験を通じて、2021年春の本格運用の開始を目指している。

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