耐えて粘って、食らい付く。相模原弥栄の執念は九回、思わぬ形でサヨナラ勝ちを呼んだ。
2点差を追い付き、なお無死満塁。投手交代を挟み、打席の片岡は4球続けてボール球を見送る。ガッツポーズで塁間を駆け抜けると、三塁ベンチから飛び出したナインの歓喜の輪ができた。右越え二塁打で好機を演出し、同点のホームを踏んだ代打長谷川は「めちゃめちゃ、うれしい」と興奮さめやらぬ様子だ。
申告敬遠を含め、この回だけで4四死球。甲子園出場12度を誇る桐蔭学園をじりじりと追い詰めていた。長谷川は「(敵失もあって)流れがこっちに傾いていたので、何とか打ちたいと思った」と自信に変えた。
投手陣の粘りが伝統校の焦りを誘った。2年生永守とエース夏目の右腕リレーで、失ったのは四回の2点だけ。「攻撃陣がチャンスをつくっていたので、一本出れば勝てるなと思っていた」と永守。2人で与四球3と無駄な走者を出さずに反撃を待ち、最後にドラマを呼んだ。
この上ない勝ち方で、目標だった名門・東海大相模との対決を実現させた。「最高の相手と戦えるのでうれしい。絶対に勝ちたい」と主将の石井。言うまでもなく、ムードは最高潮だ。