8回には追加点呼ぶ好打と好走塁も
■ソフトバンク 6-0 オリックス(12日・PayPayドーム)
ソフトバンクは12日の本拠地オリックス戦に6-0と快勝した。お立ち台に上がったのは、先発として7回途中を無失点に抑えた和田毅投手と先制打を含む3打点の松田宣浩だった。しかし、この両者を陰ながら支えたベテラン・高谷裕亮捕手の存在が光った試合だったともいえるだろう。
「だんだんコーチの域に達してきたかな」。工藤公康監督がそう評したのが高谷が見せたセーフティバントだ。互いに無得点のまま迎えた5回、川島慶三の二塁打をきっかけに1死一、二塁としたところで高谷の打席が回ってきた。カウント1-1からの3球目、高谷はプッシュ気味のセーフティバントを仕掛け、これが投手への犠打となって2死二・三塁とチャンスを広げた。次の松田が初球をレフトへ弾き返し、2人の走者を迎え入れた。
この場面を工藤監督は「サインは出してないです。出そうとはしてたんですが、初球から(バントに)構えて、意図を持って打席に入ってくれていたので任せました。相手がいい投手なので、そうチャンスはないし、前の回のチャンスでも点が取れてなかった(1死一、三塁から併殺)ので、その辺はさすがベテランだなと思うところはあります。これもチームのことを考えた素晴らしいチームプレーだと思います」と高く評価。
捕手としてリード面も評価「相手の狙い球を外してくれた」
そのうえで「だんだんコーチの域に達してきたかな、と。だって僕らの考えがわかるようになってきてますからね」と言って笑いながら「やはり経験がないとできることではないので、本当にチームにとっては大きかったです」と目を細めた。自らの先制打に繋げた松田も「必死こいて1つでも先に送ってくれたんでね」と、高谷のチームプレーで気合が入ったことを明かしている。
さらに工藤監督は捕手としての働きにも触れ「高谷君のリードが相手の狙い球を外してくれた。相手が的を絞ることができない中で(和田が)いいピッチングをしてくれた」と賞賛。和田もお立ち台で「7回途中まで投げられたのは高谷のリードのおかげ」と感謝を示した。
4点リードの8回には2死一塁で高谷の4度目の打席が回ってきた。打席で粘りを見せる間に、一塁走者の上林誠知が盗塁。その後、高谷は大きく開いた三遊間を抜くレフト前ヒットを放つが相手の前進守備もあって、上林は三塁にストップ。すると、またも松田が初球を叩いてセンター前へタイムリー。高谷はこの当たりで一気に三塁まで進む好走塁も見せ、続く今宮健太のヒットで6点目のホームを踏んだ。
主に和田の登板時にしかスタメン出場する機会はないが、試合に出ればベテランらしい存在感を示す高谷。練習の合間には、チーム随一のモノマネ王という“別キャラ”で周囲を和ませているが、指揮官も認める「コーチの域に達してきた」試合の読みこそ、高谷の一番の強みなのかもしれない。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)