田澤純一の150キロ超え直球に客席から「さすが」 今季初失点も感じた確かな手応え

14日に今季4度目の登板をした埼玉武蔵・田澤純一【写真提供:埼玉武蔵ヒートベアーズ】

今季4試合目で無安打ながら初失点「ミスをカバーするような投球ができれば」

ルートインBCリーグ・埼玉武蔵の田澤純一投手が14日、鴻巣フラワースタジアムで行われた神奈川戦で今季4度目の登板をした。3点を追う7回にマウンドに上がった右腕は、味方守備の乱れもあり、1回を無安打ながら1失点(自責なし)。自身初の失点を記録したが、力強く勢いよくミットに飛び込むストレートに、客席からは「さすが」の声が漏れた。

レッドソックス時代から変わらぬ入場曲「もぐらの唄」(EXPRESS)に合わせてマウンドに上がった田澤は、先頭打者こそ3球で右飛に仕留めたが、味方失策や死球が重なり、1点を失った。だが、「オラッ!」と声をあげながら捕手のミットに投げ込む迫力の投球に、客席の目は釘付け。バックネット裏に陣取ったNPB球団のスカウトたちの目も光った。

田澤は仲間のミスを責めることはなく、「野球は9人でやるもの。ミスをカバーするような投球ができれば良かった」と反省。この日は柔らかく傾斜のゆるいマウンドが特徴の球場で「スプリットがあまり落ちなかったことが反省点」としながらも、「ストレート自体は悪くなかった。それなりにできたのかなと思います」と感触はいい。

一番大きな手応えを感じているのは、球速だ。「アメリカでは90マイル(約145キロ)前後しか出ていなかった」というが、初登板した7月31日の栃木戦では最速152キロを記録。その後も力みのないフォームから投げるストレートは、たびたび150キロ超を記録している。4月に帰国後も3密を避け、井脇毅トレーナーのアドバイスを受けながら、ここ数年取り組んでいるトレーニングをコツコツと積み上げた。「思ったよりも球速が出ている。しっかり調整できてきたのかなと思います」と、積み重ねた成果を実感する。

2018年からチームを渡り歩く生活が続き、無所属の期間は公園で練習することもあった。孤独な時間もあったが、「どこであろうと自分の仕事をするだけ」と軸はぶらさない。ただ、今年はレッズ傘下マイナー時にオープン戦で1試合投げたのみで、実戦から遠ざかる日々が続いた。それだけにNPB入りを目指す打者との対戦は「いい緊張感を持ってやっています」と心地よく感じているようだ。また、そのチャンスを与えてくれた埼玉武蔵に対しても「このチームに拾ってもらえたことに感謝です」と素直な気持ちを語る。

この先、どんな将来が待っているか分からないが、入場曲と同様に、やることは昔も今も、そして未来も変わらない。もっと野球が上手くなるように、思い切って腕を振るだけだ。田澤の挑戦はまだまだ続く。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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