A県中央会 新会長に辻田氏 泉氏辞任、1年で異例の交代

新会長の辻田勇次氏

 JA県中央会は31日、長崎市内で臨時総会を開き、新会長にJAながさき県央の辻田勇次組合長(70)を同日付で選任した。昨年6月から会長を務めていた泉義弘氏(73)は就任1年で異例の退任。辻田氏の任期は、泉氏の残任期間である2022年6月予定の通常総会まで。
 関係者によると、7月17日に泉氏を含む7人の理事全員が31日付での辞表を提出。県中央会の役員就任時の資格要件について、理事内に解釈の相違があったという。
 県中央会の定款では、就任の年度初め時点で、70歳を超えていても役員になる資格がある。泉氏は72歳だった。だが、県内JAの役員は70歳を超えた後(71歳以上)に改選が来ると退任するのが慣例で、県中央会の理事の一部が「泉氏にも年齢制限を適用すべきでは」と反発。泉氏は「定款に反していない」と主張したが折り合わず、「あいまいな定款を承認した責任を取るため」と全理事が辞任した。
 泉氏は取材に「辞めるのは不本意だが、混乱を避けるために決断した」と話した。
 臨時総会には、県内7JAと全農ながさき、全共連県本部の9団体代表が出席。辻田新会長、再任となる森口純一副会長(JA長崎せいひ組合長)を含む新役員の選任議案を、全会一致で可決した。
 辻田新会長は取材に「ここに至るまでいろいろな意見があったが、新体制は一枚岩となってスタートできた。組合員のみなさんのためになるJAづくりをしていきたい」と抱負を述べた。

◎新会長 一問一答/組合員の願いを実現する
 辻田新会長の一問一答は次の通り。

 -JAながさき県央の組合長から県中央会のトップになる。
 主体は組合員。あってよかったと思われる農協づくりが原点だ。組合員の思い、願いを実現していくことは県中央会に場を移しても変わらない。各JAを訪ね、課題を知り解決していくことを続けていく。

 -これまでと変えていきたいことがあるのか。
 県内にある7JAの底上げを図りながら、各組合の経営を安定させたい。安定が組合員の信頼につながる。
 -まず取り組むことは。
 農家の所得向上が目標。資材の値段を引き下げて負担を抑え、販売に力を入れていく。市場と情報交換し、有利な時期に出荷をしていくようにしたい。産地のPRも大切だ。食育などを通じて地域活性化にもつなげたい。

 -課題は。
 農家は高齢化が進み、担い手が足りない。外国人労働者は新型コロナウイルス感染症の拡大で来日できず、人手不足が続いている。

 -「1県1JA」についての考えは。
 まだ先のこと。まずは各JAの経営を安定させないと難しい。

 -災害や新型コロナウイルス問題にどのように対応していくのか。
 行政と一体となって取り組む。国にはバックアップを積極的に要望していきたい。

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