37年間、ありがとう 港南台高島屋、閉店に1千人超

多くの利用客の前で閉店のあいさつをする港南台高島屋の浅野秀樹店長=16日午後7時45分頃、横浜市港南区

 港南台高島屋(横浜市港南区)が16日、閉店した。JR根岸線港南台駅前に1983年10月に開業し、「地域の百貨店」として愛されてきたが、経営環境の悪化などを理由に、37年の歴史に幕を下ろした。

 店内は多くの買い物客でにぎわい、7月1日から一斉に展開した「さよならセール」で多くの商品が売り切れた。感謝の気持ちを示そうと、店員に花束を渡す客もいた。

 午後7時半、最後の営業を終了。入り口前に集まった1千人以上の客を前に、浅野秀樹店長は「ここまで長い期間営業を続けてこられたのは、地域の皆さまにご愛顧いただいたおかげです。従業員全員が幸せに、誇りに感じています」とあいさつし、深々と頭を下げた。ゆっくりとシャッターが下ろされる際、「ありがとー」などの声が飛んだ。

 同区に住む50代の女性会社員は「当たり前にあったものがなくなるのは本当にショック」と、名残惜しそうに店の入り口を見つめていた。

 同店は同区や栄・磯子区、鎌倉市など近隣自治体の住民が、地下フロアの食料品店などを中心に利用してきたが、人口減少や高齢化などに伴って採算が悪化。2019年度の売り上げ(約76億円)はピ-クの半分以下にまで落ち込んでいた。

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