タイやドバイが観光客受け入れ再開、それでも海外旅行は事実上不可能なワケ

今年の夏休みは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で海外旅行の計画を断念した方がほとんどなのではないでしょうか。感染拡大が一向に収まらず、いつになれば気軽に海外へ行ける日が戻ってくるのかが見えてきません。前回では航空券予約についての活用法を解説しました。

観光が主要な産業になっている国にとっては大打撃となるため、しびれを切らして観光目的の入国者受け入れを部分的に再開している国も出てきましたが、現時点で観光目的の海外渡航は現実的ではありません。コロナ終息後、どうすれば海外渡航が“解禁”になるのかを考えたいと思います。

※この記事は新型コロナウイルスの感染拡大が終息した後の海外渡航に必要な情報を紹介することを意図しています。いますぐに海外渡航をすることを推奨するものではありません。情報は8月16日時点の内容です。最新の情報はご自身で必ずご確認ください。


帰国OKが最初の第1歩

コロナの感染拡大はまだまだ予断を許さない状況ですが、人の往来が完全に遮断されているわけではありません。ビジネス目的の人をはじめ、どうしても必要な場合に海外渡航をすること自体は現在も可能です。

ですが、観光目的の渡航は事実上不可能です。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ政府が7月に観光客の受け入れを再開し、タイも一部地域で観光目的の入国者受け入れ再開を検討しているというニュースもありました。

観光が主要な産業になっている国としては、コロナが完全に終息するまで待っていられないという事情もあります。今年のうちに観光客の受け入れを再開する国はもっと出てくるでしょう。しかしながら、渡航先が日本人観光客の受け入れを再開していても、残念ながらすぐに行けるわけではありません。現在の状況では、“入国”はできても“帰国”ができないためです。

8月16日現在、日本に入国するすべての人が到着後に検査を受ける必要があり、陰性だったとしても14日間の自主隔離が必要になります。この措置が解除されるかどうかが、海外渡航が“解禁”になるかどうかの最初の1歩になるといえます。

渡航先が日本人の入国を認めていること、目的国から日本へ帰国する際の自主隔離が免除になっていることの2つがセットになって初めてその国への渡航が〝解禁〟になったといえるでしょう。

複雑かつ高額な渡航前検査

しかし、その2つがそろっても気軽に渡航できるようになるわけではありません。外国人入国者の受け入れを再開している国のほとんどが、出発前にPCR検査を受けて陰性の証明書を提出することを要求しています。

観光目的の入国を認めているドバイですが、出発前96時間以内にPCR検査を受けて陰性であることの証明書の提示が入国の条件になっています。今後、入国可能になる国も似たような条件を掲げてくると予想されます。

海外渡航を控えている人のために、PCR検査と英文での証明書発行を受け付けている医療機関はありますが、自費診療となるため、検査と書類発行で4万円前後からとかなり高額です。

国ごとに定められた方法で検査を受けなければいけませんし、要求される証明書の体裁も国ごとに異なります。それらを自分自身で確認し、対応できる医療機関を見つけて予約を入れる作業が必要になります。

しかも、検査を受けるタイミングは出発の直前でなければ意味がありません。自費診療のPCR検査をしている医療機関のほとんどは事前予約制なので、入念に計画を立てることが必要です。

渡航前の検査を受けるだけでも、それなりの金額がかかる上に、予約から検査までのフローもかなり複雑です。単なる観光旅行のためにここまで準備をする人はなかなかいないのではないでしょうか。

“不要不急”という基準は人によって違ってくると思いますが、手続きの大変さを考えると海外渡航の“解禁”直後に海外へ行くのはおのずとビジネス目的の人や現地に家族がいる人に絞られてきそうです。観光目的の人が気軽に海外へ行くことができるのはもう少し先になりそうです。出発前の検査が必要なくなったときが、本当の意味での“解禁”のタイミングと呼べるのではないでしょうか。

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