22歳・山本由伸は「末恐ろしい」 オリ元監督・森脇氏が指摘する進化の跡

オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】

森脇浩二氏は全球種を操る投球や守備だけでなく、コメント力も称賛した

■西武 3-1 オリックス(18日・京セラドーム)

オリックスの山本由伸投手が18日、本拠地・京セラドーム大阪で行われた西武戦で7回4安打1失点(自責0)の快投。“山賊打線”の先発メンバー全員から計12三振を奪う凄みを見せた。打線の援護がなく5試合連続で白星を逃したものの、球界随一の右腕であることを実証した。

山本は最近、7月26日の楽天戦で6回4失点、8月4日のロッテ戦で6回5失点、同11日のソフトバンク戦で5回5失点と不本意な投球が続いていたが、この日の姿こそ本来のものだ。最速156キロのストレートがうなりを上げ、フォーク、スライダー、カットボールのキレ、制球も抜群。ときおりカーブで緩急をつけるところまで完璧だった。

1点リードの5回には、無死二塁からスパンジェンバークを一ゴロに仕留めながら、ベースカバーの際に一塁手・ロドリゲスとの連係が乱れ、悪送球となって同点とされた。さらに金子の犠打で1死三塁と追い込まれたが、1番・鈴木をフォークで空振り三振、源田も遊ゴロに打ち取り、踏ん張った。結局7回103球で降板後、8回に2番手のヒギンスがメヒアに決勝2点適時打を浴び、チームは敗戦。それでも山本自身は、相手とファンに強烈な印象を残した。

元オリックス監督で、2014年にチームを優勝したソフトバンクにゲーム差0の2位まで押し上げた森脇浩司氏は、「久しぶりの本領発揮。全ての球種を操れていて、投球を楽しんでいるかのように見えました。パワーカーブをカウント球にも勝負球にも使うなど、投球に幅があり連打されない投球術でした」と称賛する。

「ファンが応援したくなるアスリートに成長しています」

技術的には「彼の投球フォームは、踏み出した左足がピンと伸び、それをまるでつっかえ棒のようにして上半身を振り下ろす独特のもの。現米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平、昔でいえば、元阪急の山口高志さんや、元中日の小松辰雄さんがこれに近いフォームで剛速球を投げてた。この日はそのフォームのバランスが終始良かった」と分析した。

山本は前日17日に22歳の誕生日を迎え、「選手としても、人としても、立派な存在になれるように、しっかりした大人になれたらなと思います」とコメントしたばかり。森脇氏は「コメント力もしっかりしている。投球の素晴らしさだけでなく、非常に好感が持てる、ファンが応援したくなるアスリートに成長しています。また、ダイエー・ソフトバンクの絶対的エースだった斉藤和巳さん、ヤンキースの田中将大投手、巨人の菅野智之投手のように、投げるだけでなく、クイックモーション、フィールディング、打者との間合いを持ち合わせている。末恐ろしい」と目を細める。

先発転向した昨季、防御率1.95で初タイトルを獲得し大器の片りんを見せた山本。プロ4年目の今季、いよいよ調子を取り戻し、どこまで伸びるか楽しみになってきた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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