【佐々木淳コラム】フェイスシールドに効果あり、の論文を発見しました

フェイスシールドに効果あり、の論文を発見しました。フェイスシールドをすることで新型コロナ感染を防御できた、としています(2682人の患者との接触で感染ゼロ)。

インド・チェンナイで、感染者の家族相談(接触追跡?)を担当した保健師(community health workers)を対象とした研究です。

5月3-15日、保健師はフェイスシールドを含まない個人防護(アルコールハンドラブ、3層式サージカルマスク、手袋、靴カバー)で家庭訪問。しかし5月16日に2人が新型コロナを発症したため、5月20日~6月30日は、そこにフェイスシールドを加えた。
フェイスシールドを着用する前(5月3~15日)に、62人の保健師が5880軒(31164人・うち222人がコロナ陽性)を訪問。12人(19%)の保健師が感染した。8人は有症状(発熱、咳、喉の痛み、筋肉痛、無痛症)、4つは無症候性。うち4人は動脈血酸素飽和度の低下と軽度の呼吸困難を発症、経口ヒドロキシクロロキンと酸素療法で治療、全員が回復。
フェイスシールドを着用した後(5月20日~6月30日)に、50人の保健師(感染の既往なし)が18228軒(118428人・うち2682人がコロナ陽性)を訪問、保健師の感染はなかった。

フェイスシールドの有用性を明らかにした論文はこれまでなかったように思いますが、この結果はかなりはっきりしているようです。N95の確保はまだまだ難しい状況と思いますが、よっぽどのエアロゾル大量発生手技以外は、サージカルマスク+フェイスシールドの組み合わせでも大丈夫なのかもしれません。
高齢者施設や病院での面会も、フェイスシールドを着用することで少し緩和できる可能性はないでしょうか。

佐々木 淳

医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長 1998年筑波大学卒業後、三井記念病院に勤務。2003年東京大学大学院医学系研究科博士課程入学。東京大学医学部附属病院消化器内科、医療法人社団 哲仁会 井口病院 副院長、金町中央透析センター長等を経て、2006年MRCビルクリニックを設立。2008年東京大学大学院医学系研究科博士課程を中退、医療法人社団 悠翔会 理事長に就任し、24時間対応の在宅総合診療を展開している。

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