生活苦融資はリーマンの80倍…昭和おじさん社会の中間層も危機

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月30日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、健康社会学者で気象予報士の河合薫さんが“コロナによる格差拡大と中間層の没落”について述べました。

◆コロナ禍で困窮者増加、格差も拡大!?

新型コロナウイルスの影響で、最大20万円を無利子で借りられる「緊急小口資金」の申請が殺到。その総額は約1,045億円となり、リーマンショックの影響が大きかった2009年度のおよそ80倍に。生活に行き詰まる人がかつてない規模で増えていることが浮き彫りとなり、申請数は7月以降も週2~3万件のペースで増加。今後はさらに増える見込みです。

これは深刻な問題となっていますが、河合さんは「今後は格差がさらに広がる。コロナによってパンドラの箱が開いたように明確になってきた」と危惧。

わかりやすいところで言えば、その格差は河合さんが呼ぶ「昭和おじさん社会」とそれ以外で顕著に現れ、前者は正社員で主婦がいて、介護をする必要もない、生活基盤が安定している人たちで「今のところコロナによる影響が極めて少ない」と説明。

一方で後者は、昭和時代には存在しなかった非正規労働者、最近増えているシングルマザー(ファザー)、老老介護が必要な方々などで、生活基盤が極めて不安定。しかも、「彼らの心配ごとは、明日どう生きればいいのか。衣食住、人間の生理的な欲求の部分すら脅かされている」と言います。

◆中間層も危ない…平均所得以下の世帯が6割

そんななか、現在世間では「ジョブ型」、「ワーケーション」、「テレワーク」、さらには「GoToキャンペーン」などが叫ばれていますが、「こういったことに今対応できるのは『昭和おじさん社会』の人たち」と河合さんは断言。そして、「アフターコロナを見据え経済を回していくことは大切だけど、自己実現と言われるような欲求に『昭和おじさん社会』の人たちは向かい過ぎ。明日をどう生きるかという人たちへの支援も行ってはいるが、どうしても後手後手感が否めない」と指摘。

今後については、「コロナが長引けば長引くほど感染は広がり、経済は滞る」と推測。さらには、「今は生活基盤が安定している人でも、こぼれ落ちてくる人が出てくる」とも。事実、すでに企業では希望退職を募る傾向が強まり、派遣切りも増加。介護現場に至っては崩壊危機に陥っているそうで、これが進むと、中間層が没楽することになる」と警鐘を鳴らします。

「中間層」というと平均より上のイメージがありますが、今の日本の実態は平均所得以下の世帯が62.4%。また、現在は彼らが税金を担っていますが、コロナ禍で今後はさらにその負担が増すことで、中間層といえども生活が追い詰められていくと案じます。

そこで河合さんは、「今こそ安心を担保するために全ての従業員、あるいは旅行に行こうとする人など、全ての人にPCR検査を徹底させるしかない」と主張。PCR検査が万全ではないものの、検査を行い、ある程度リスクがないことがわかった上で旅行に行ったり、お店もお客さんを呼び込んだりすればいいとし、「PCR検査のエビデンスで担保し、感染拡大をさせない取り組みをしないと本当に(日本は)立ちいかなくなる」と危機感を露わにしていました。

ファッションデザイナーの渋谷ザニーさんは、PCR検査も今日は陰性でも明日には陽性になる可能性もあるだけに「日頃の自己管理のケアが大事」と言います。また、「今はマスクより(消毒用)アルコールを必要としている。そういった現場を理解する行政であってほしい」と訴えていました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

© TOKYO MX