自殺報道から今こそ考えるべき「命のアフターケア」

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月30日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ファッションデザイナーの渋谷ザニーさんが“有名人の自殺報道”について述べました。

◆自殺関連報道で「やるべきこと」「やってはいけないこと」

俳優・三浦春馬さんの所属事務所「アミューズ」は、三浦さんは7月18日に都内の病院で死亡が確認されたと文書で発表。遺族と相談の上で密葬され、ファンに対しては後日お別れできる機会を設けるとしています。

渋谷さんによると、WHO(世界保健機関)はメディア関係者向けに「自殺対策推進のための手引き」を設けており、そこでは調査研究や統計に対するもの、地域などに対するもの、映画や舞台など表現に関するものなど、自殺対策に関するガイドラインが23に区分されているとか。

さらに、自殺関連報道では「やるべきこと」と「やってはいけないこと」があり、「やるべきこと」は「自殺についての迷信を拡散させない」や「自殺の対処法・解決報道を報道すべき」、「有名人の自殺報道は特に注意を払うべき」、「ご遺族や友人などへのインタビューは慎重に行うべき」など、とても細かく設定されています。

一方で「やってはいけないこと」は、「自殺報道記事を目立つように配置しない」、「報道を過度に繰り返さない」、「自殺をセンセーショナルに報道しない」。そして、「ありきたりの言葉で掲載しない」、「自殺手段を明確に表現しない」。さらには、「自殺が発生した現場やその場所の詳細を伝えない」、「SNSなどで写真や映像を用いない」などがあり、これらを踏まえると「先日の(三浦春馬さんの)報道は、あまりにもセンセーショナルで感情的で、故人に対しても関係者に対しても配慮に欠けた報道だったと思う」と渋谷さんは言います。

しかし、これは日本だけではなく「全世界が有名人の自殺に関してはこういう風な報道をしてしまう」と指摘。三浦さんの件に関しても、「本来であれば30歳の青年が自宅で自殺によって亡くなられた。それだけで報道としては完結している」と主張します。

◆自殺は連鎖する……今一度報道について考えるべき

そして、渋谷さんは「報道以前の問題で最も恐怖に感じること」として、「どこから現場の詳細な情報がメディアに漏れたのか、それが課題の1つ」と言います。情報源が第一発見者、医療関係者、警察なのかと疑問視するなか、「近年の報道の流れを見ると行政とメディアの繋がりに疑問が残る」と言い、「それが青年・少年(少女)たちの自殺に関わってくると、自殺は連鎖するからすごく恐ろしい」と注意を促します。総じて、「もう一度、有名人の自殺に対する報道をどう見極め、広めていくか考えないといけない時期にきている」と話していました。

健康社会学者で気象予報士の河合薫さんは、「報道の仕方を考えることは、次の命を大切にすることに繋がる」と言います。そして、報道次第でさまざまなリスクが考えられるだけに、「こういった指針が世界的に広がっていることを考えてほしい」と訴えていました。

なお、厚生労働省は「こころの電話相談(0570-064-556)」、東京都は「東京都自殺相談ダイヤル~こころといのちのホットライン~(0570-087-478)」などのホットラインを設けていますので、お悩みのある方は活用の検討をしてみてはいかがでしょうか。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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