炎暑やまず

 「日傘男子」という言葉を先日の本紙で見つけた。日傘を差し、自然とソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ男性をそう呼び、ハウステンボスでお勧め中らしい。園内で日傘を買えば、飲食などに使えるクーポンがもらえる▲熱中症防止に、感染症予防にと、この夏は日傘がいつになく注目された。通りでは、日差しを傘で遮る人はいつもの夏より多い気もする。1本かばんに入れておくかな、と遅まきながら考える▲暦の上ではとうに立秋を過ぎ、この時節は残暑の日差しが少しずつ弱まる頃だが、今年はお盆を過ぎてもその気配がない。日傘の出番はもうしばらく続くだろう▲県内では14日、島原で気温35度以上の猛暑日になり、その後も炎暑の日が連なっている。きのうは猛暑日に迫った所がいくつもあった▲日傘は二つの防止策を兼ねるというが、そうした効果を併せ持つ物はわずかだろう。感染予防のマスクは息苦しさを招き、体に熱がこもりやすくなる。こんなにも過ごしにくく、堪え難く、もう去ってくれと思う夏は例がない。それなのに、でんと居座り続けるのがもどかしい▲二十四節気の一つで、暑さが緩み涼しさも感じられる「処暑(しょしょ)」は23日に巡り来る。「暦の上では」と、おことわりの多い昨今、名ばかりの処暑にならないよう天に願う。(徹)

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