4打点の燕・坂口は「年々若返っている」 オリックス時代知る森脇氏が語る強み

ヤクルト・坂口智隆【写真:荒川祐史】

坂口は同点2ラン&ダメ押し2点タイムリーでチームの連敗止めた

■ヤクルト 7-3 中日(20日・神宮)

ヤクルトは20日、神宮球場で中日に7-3で逆転勝ちを収め、連敗を2で止めた。「1番・右翼」でスタメン出場した坂口智隆外野手が同点2ランとダメ押しとなる2点適時打で計4打点の活躍。元オリックス監督で、ダイエーやソフトバンク、中日でコーチを務めた森脇浩司氏は、36歳を迎えたベテランが放つ存在感の大きさを強調する。

2点を追う4回、坂口は2死一塁の場面で外寄り低めの直球を右翼スタンドへ。3号2ランで試合を振り出しに戻した。外角一辺倒の配球に対し、しっかり踏み込んで打ちに行った点を挙げた森脇氏は「完全に坂口の読み勝ちだった」と評価する。さらに2点リードとなった5回2死二、三塁では、2番手の岡田俊哉投手が初球に投じた直球を中前にはじき返して2人を生還させた。

坂口がオリックス在籍時、コーチと監督を務めた森脇氏は「坂口の長所は選球眼の良さと真っすぐへの強さ。それは好打者に共通することでもある。最もボール球を振らないバッターのひとりだと思う」と言う。その強みはプロ18年目を迎えた今も変わらないといい「坂口本人の支えになっていると思う。彼の基本は崩れていない」と推し量る。

本職の外野だけでなく一塁も守る「野球を新鮮に感じているだろう」

ヤクルトでは本職の外野だけでなく一塁もこなす姿に「常に前向きに取り組んでいる。野球というものを新鮮に感じているんだろうし、気持ち的には年々若返っているようにも思える。まだまだ老け込む歳でもないし、打者としては大いに年齢に逆らってやってもらいたい。オリックス時は本当に頼りになる存在だった。ヤクルトでも攻守でリーダーとして躍動してほしい」と期待した。

チームは連敗を2で止め、敗れた中日に代わって3位に浮上。開幕直後に上半身のコンディション不良を訴えて登録抹消されていた中村悠平捕手が1軍昇格即スタメンでフル出場を果たした好材料もあった。中村は2安打1打点で早速存在感を発揮。正捕手が戻ってきたことに、森脇氏は「ヤクルトに中村ありという試合だった」とうなずく。

この日の先発・高梨裕稔投手が立ち上がりから苦しい投球を続ける中で「高梨の最高と最低限の部分を的確に見極め、データに頼らず、データを活かす配球でいかにゲームを作るかという意識でリードしていたし、それに応えた高梨も素晴らしかった。ピッチャーが慎重になりすぎている時に『打てるもんなら打ってみろという気持ちで投げてこい』と言うかのごとく引っ張る中村の姿は際立っていた」と強調。戻ってきた扇の要。この快勝をきっかけに、ヤクルトが上位をうかがっていく。(小西亮 / Ryo Konishi)

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