708日ぶり1軍復帰の西武内海へ“社会人三羽烏”がエール「ジャイアンツを見返せ」

西武・内海哲也【写真:荒川祐史】

元横浜の森大輔さん、近鉄最後のドラ1香月良太さんは西武内海と共に“社会人三羽烏”として盛り上げた

西武の内海哲也投手は22日のオリックス戦(京セラドーム)で今季初登板初先発する。巨人から移籍1年目の昨季は故障に苦しんで1軍登板なし。708日ぶりに1軍マウンドに上がる通算133勝左腕の再起へ熱い視線を送るのが、2003年ドラフトで“社会人三羽烏”と言われた元横浜(現DeNA)の森大輔さんとオリックス、巨人で活躍した香月良太さんだ。プロ17年目のシーズンで奮闘するベテラン左腕へ、2人がエールを送った。

内海はまだまだ1軍で活躍できる――。左腕が本拠とする所沢から遠く離れた石川・七尾市から熱視線を送るのが森大輔さんだ。現在は医療機器メーカー「白寿生科学研究所」で働く傍ら、七尾東雲高(母校の七尾工と七尾商、七尾農を移行)のコーチとして活動している。

森さん「実は去年の春季キャンプに内海に会いに行ったんですよ。内海も僕を覚えてくれていたみたいで『やばっ! 森じゃん!』って。他愛もない話をさせてもらったんですけど、『頑張ってくれよ』と話しました。(社会人三羽烏では)あいつが最後。ジャイアンツを見返すぐらいに。楽しんでいる姿を見せてほしいです」

森さんは七尾工3年夏の石川県大会で23奪三振のノーヒットノーランを記録し、「能登のドクターK」と注目を浴びた。内海の母校・敦賀気比高は同じ北陸地区で、3年春の練習試合は「負けましたけど、14個の三振を取れたんです。清々しい気持ちだった」とはっきり覚えているという。03年ドラフト自由獲得枠で入団した横浜では投球障害・イップスに苦しみ、プロ生活はわずか3年。1軍登板なしで戦力外通告を受けたが、内海はいつも“ライバル”だった。

森さん「現役時代は『内海には絶対に負けてない。負けたくない』と思ってやっていました。負けないという思いが、だんだん応援する立場に変わっていきましたが、内海は巨人でバリバリやって最多勝を取ったり1億円以上を稼いだり……。雲の上の存在ですが、ずっと励みにはなっています」

19年春季キャンプを訪問した森大輔氏(左)と西武・内海哲也【写真:本人提供】

香月さんは巨人時代にチームメートだった「内海には経験もあるので、必ず優勝争いの力になると思う」

同期の活躍は励みになる。香月さんにとっても、その思いは同じだという。現在は「株式会社ネットワークファッション」に勤務する香月さんは福岡・柳川高、東芝を経て、“近鉄最後のドラ1”として03年ドラフトの自由獲得枠でプロ入り。12年オフにトレードで内海とチームメートとなった。

香月さん「高校2年生の時に遠征で対戦して、3年生の時は知ってました。(現役時代は)ずっと気になっていました。僕がトレードで入った時は巨人の左のエース。ずっと活躍してきて、僕とは立場が全然違った。普段はとにかく明るくて、いいヤツです。数年前にはお店に来てくれて会いに来てくれました。(内海には)少しでも長くやってもらえたら嬉しいです。悔いの残らないようにやってもらいたいです」

3選手の進路が決まった03年のドラフト会議後には川崎市内の居酒屋に集結。森さん、香月さんにとって、お互いの社会人チームやプロへの思いを語り合ったのはいい思い出だ。

森さん「一生懸命投げている、楽しんでいる姿を見たいです。同じ社会人でプレーした者としては自分の姿を見せてほしいです」

香月さん「内海は先発ローテに入ることを望んでいると思う。内海には経験もある。必ず優勝争いの力になると思う」

かつて“社会人三羽烏”として球界をわかせた選手として、内海の1軍での躍動を心待ちにしている。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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