東大クイズ王が子供に完敗!?進化する金融オンライン教育の最前線

「問題です、『会社が借金をすることは法律で禁止されている』〇か×か。では30秒以内に答えてください、どうぞ!」

モニターに映った大勢の子供たちが答えの書かれたスケッチブックを一斉に掲げます。問題を読み上げたのはTBSテレビ「東大王」にレギュラー出演するクイズ王 伊沢拓司さん。子供たちの回答をみて、不敵な笑みを浮かべます。

これは不動産大手の森ビルが主催する「六本木ヒルズ キッズワークショップ 2020」の1コマ。マネックス証券と伊沢さん率いるQuizKnock(クイズノック)によるオンラインワークショップ『クイズミッション!人気ユーチューバー"QuizKnock"をたおせ』が開催されました。

クイズ王と子供たちのオンライン対決、その内容はどのようなものだったのでしょうか?


子供の知識にQuizKnockもタジタジ

オンラインワークショップが開催されたのは8月13日、1時間ずつ2回に分けて開催されました。参加したのは小学5年生~中学3年生、各回80名です。WEB会議システム「Zoom」を利用して一堂に会し、QuizKnockから出題される「お金」にまつわるクイズに答えます。参加者のうち半数以上が正解すれば勝ち、取材した回では5問出題されました。

参加する子供たちは80名という大人数のため、音声はQuizKnock側のみ使用します。子供たちは手元にスケッチブックを用意し、回答はそこに記載して掲げることで運営側が集計できるという流れです。

気になる問題はというと、「クレジットカードでものを買ったときのお金は、いつ、どうやって払っている?」「消費税はふつう10%だけど、特別に8%になるのはどんなとき?」など、子供たちにとって身近なものから大人になってから役立つ知識まで、幅広く出題されています。

そしてこの回の最終問題、テーマは「株」です。

問:株をもっていると”いいこと”があります。そのいいこととして『間違っている』ものを以下の3つから選んでください

1、株が値上がりすると儲かる

2、持っていると税金が安くなる

3、持っているとお金がもらえる

難しいと思われたこの問題、正解率はなんと88%でした。今回最も正解率が低かったのは冒頭の「『会社が借金をすることは法律で禁止されている』〇か×か」という問題、それでも正解率は66%です。QuizKnockが完敗の結果となりました。

東大王の解説に大興奮

「六本木ヒルズ キッズワークショップ」は2010年から毎年開催されていましたが、今年は
新型コロナウイルスの影響もあって、すべてがオンラインの開催となりました。森ビルの長谷川聡子チームリーダーは「オンラインであってもこちらから一方的にお伝えするのではなく、参加される親子と相互にコミュニケーションとれる形を目指しました」と話します。

実際にワークショップではコミュニケーションを促す施策として、勝敗を決する5問以外にもオンラインならではの”ミニクイズ”が用意されていました。1つの出題が終わると、画面に映るQuizKnockメンバーの背景ががらりと変わります。

「僕たちは次のステージにワープしました!ここはいったいどこでしょうか!?」

背景に映っているのは東京証券取引所。ちょっと難しい問題かと思いきや、子供たちはすらすらと回答を書いています。なかには「兜町」と玄人顔負けの回答を出す子も。その回答にあわせ、伊沢さんが丁寧にコメントや解説を入れていきます。クイズ王が自分が出した回答を見つけてコメントをくれる、子供たちにとってはとても嬉しい瞬間だったようです。

<カメラの向こうにいる子供たちにむけて、身振り手振りで解説をする伊沢拓司さん>

「子どもたちは正解することが楽しい」

今回、企画を担当したマネックス証券石田マリアさんによると、当初はマネックスの社員がオンライン上で講義をする形を検討していたそうです。しかし、「オンラインで講義を聞かされるのは面白くないだろう」と却下に。そこで白羽の矢がたったのが子供に人気のあるQuizKnockでした。

QuizKnockは伊沢さんを中心に活動するYoutuber集団で、主に東大出身者で構成されています。様々な雑学やクイズを中心としたコンテンツを配信しており、チャンネル登録者数は142万人を超えています。今回は出題された問題はもちろん、内容の枠組みまですべてをQuizKnockが制作したそうです。

制作にあたり伊沢さんは「一番意識したのは、正解できるようにすることです。やっぱり子供たちは正解することが楽しくてクイズをやっているので、まずは正解して楽しんでほしい。その後に知識が少しでも残ってくれればいいなと思っています」と話します。とはいえ、この正答率の高さは伊沢さんでも予想外だったそう。「若い子たちしっかりしているなぁ」と関心しきりでした。

今回、キッズワークショップとして初めてのオンライン開催でしたが、「うまく入れない」などのトラブルもほとんどなかったそうです。コロナ禍において、大人以上にオンライン環境に馴染んでいる子供たち、未来を担う彼らの手にたくさんの可能性を残したいものです。

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