「こんなによくなっちゃったの!?」新旧レヴォーグを乗り比べてわかった格段の進化
で、「新型でチェックしておきたい3つのポイント」を挙げた。
1:新しい骨格、シャシーとステアリング、エンジンが生み出す走りの味の進化。
2:新世代アイサイトのアドバンテージ。
3:インフォテインメントシステムはじめ日常的な使い勝手の進化。
の3つだ。
今回はまず1番目の「新しい骨格、シャシーとステアリング、エンジンが生み出す走りの味の進化」についてご紹介していこう。
限られた条件下での試乗だが、その進化は確実に確認出来た
実際に走らせてみて、新しいスバル レヴォーグ──繰り返すけど生産型試作車というべきプロトタイプだ──は、どんな印象を与えてくれたか。
今回の試乗はテストコースで行われたためにシチュエーションが限定されていた。
最も元気よく加速できるところでも直線で90km/hまで、ダブルレーンチェンジは60km/h程度の一定速度、1/2定常円は50km/h程度まで、スラローム区間も60km/hまでの一定速度で、凸凹のハーシュネス区間は20km/h…と目安が定められていた。タイヤのブラックマークをつけたらダメというコースの規定に合わせるためのもので、実力の奥深さを試す機会はまた別に……ということだろう。
現行型レヴォーグ STI Sportとの比較テストを実施
なお当日、新型レヴォーグの最上級グレード「STI Sport EX」(1.8ターボ・プロトタイプ)と、現行型レヴォーグ STI Sport(1.6ターボ)の2台を試すことが出来た。
その試乗コースの範囲内で走らせた限り、新型レヴォーグの全体的な完成度はかなり高いように感じられた。比較のために用意されていた初代レヴォーグの1.6リッターターボも、そちらを走らせている限り、不満らしい不満は何も感じられないのだ。が、新型に乗り換えると「こんなによくなっちゃったの?」なのだから。
ステアリングを切ったとき意のままに操れる感覚が「超キモチいい!」
先代1.6ターボと比べグンと洗練されたエンジンの回転フィール
まずエンジン。全域で力強さが増して印象はあるし、速度の乗りもいい。回転のスムーズさも少し上手だ。あまり高回転域を使えないシチュエーションだったこともあって、際立ってパワフルになったとかものすごく速くなったという感覚はなかったけど、ゆっくり低速で走っている状態から加速していくとき、高速道路の本線への合流を想定した中間加速などでのチカラのツキのよさは記憶に残った。
個人的には初代レヴォーグ1.6リッターターボの──誤解を生じる言い方かも知れないが──心地のいい雑味のようなものを感じさせながら回転を伸ばしていくフィーリングもかなり好きだ。けれど好嫌じゃなくて優劣で語れと迫られたら、優れてるのは新型と答えざるを得ない出来映えである。
もっとも、ブンブン回して元気よく走ることができたわけじゃないから、あくまでもこの段階では、というお話にしておきたいところではあるけれど。
ステアリングの滑らかさと反応の良さに感心
次に感心したのは、ステアリングのフィールだった。ほんの2~3回操作したぐらいの段階で気に入った。
切り込んでいったときに伝わってくる滑らかな感触と適度な反力、そして操作したときに無意識に期待しているのとほとんど変わらないタイミングでのクルマの反応。シャープさも増している印象だ。“ステアリング・フィールがよくて反応遅れもない”という表現を目にすることがあるけれど、まさしくそれだ。
スバルらしい気持ちよさを感じさせてくれるスポーティなクルマ
“曲がる”のレベルが格段にアップしていた
熱心なスバリスト達がおそらく最も気になっている“曲がる”ことに対するモロモロはどうだったか。ここでも従来の1.6リッターターボ・モデルで全く不満を感じなかったのに、レベルが上がってるな、と思わされる。
クルマがとにかく気持ちよく、そして狙ったとおりに動いてくれる。サスペンションが綺麗に伸びたり縮んだりしてる様子が伝わってくる。コーナリングを開始して車体が傾いていくときの動きも感覚とのズレは全くないし、戻っていくときも同じ。シャキッとスポーティで、とても自然。少なくとも日常的な速度域では、かなり好印象だ。
コーナーを曲がりながらステアリングをグッと切り込んでみたり、急にアクセルを放したりして不安定な姿勢を作り出すことも試してみたが、そういうときでもリアタイヤはグッと路面を掴んでいて、ちゃんと駆動が効いてる感覚があった。車体がガッチリしたことの効き目のひとつでもあるが、もしかしたらAWDの制御にも手が入ってるのかも知れない。
もうちょっと速度域を上げて元気よく走ってみたいという気持ちがますますクッキリと立ち上がってくるぐらい、スバルらしい気持ちよさを感じさせてくれるスポーティなクルマであることは間違いない。
(続く)
[筆者:嶋田 智之/撮影:小林 岳夫・SUBARU]