手を使わずに消毒液を 中小企業16社が「足踏み式」開発

足踏み式のアルコール消毒液用スタンドを紹介する玉川社長=JI川崎フロンターレのチーム公式ショップ

 東京都大田区や川崎市内の中小企業16社が、店内などに置くアルコール消毒液用のスタンドを共同開発した。新型コロナウイルスの影響で仕事が減る中、金属加工や溶接、メッキ塗装など各社の技術を結集。家族の意見も取り入れ、不特定多数が触るポンプヘッドを押す必要がない足踏み式を採用した。

 スタンドは鉄製で高さ105センチ。足元のステップを踏むと、トレー上のボトルから少量の消毒液が出る仕組みだ。

 店内や施設内に置くことを考慮し、耐久性の高いシンプルな構造を採用。万が一、子どもがぶつかってもけがをしないよう、角をなくした。また足踏み式には、「コロナ禍でも一歩を踏み出そう」との思いも込めた。

 設計したのは、マイクスタンドなどを製造する「玉川パイプ」(東京都大田区)。感染が拡大し始めた2月ごろから仕事が減り、自社の技術を活用できないかと考え、同様に苦境にあえぐ、知り合いの企業にも声を掛けた。「今野工業」(川崎市高津区)は金属加工技術を生かし、液垂れ防止用のトレーを製造した。

 4度の試作を経て、6月末から販売を開始したところ、「細かい部分まで配慮されている」などと評判を呼び、既に約450台が売れた。

 JI川崎フロンターレのチーム公式ショップ(同市中原区)もその一つ。「大手企業の商品も検討したが、地域の企業を応援しよう」と、3台購入した。

 玉川パイプの玉川大輔社長(41)は「店の雰囲気を壊すことなく、さりげなく使ってほしい」と期待している。

 スタンドは2万9800円(税別)。問い合わせは同社電話090(7188)6838(平日午前9時~午後5時)。

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