五島市長選告示 野口氏 人口減対策など継続を 中西氏 市民の声を政治に反映

出陣式で、候補者の第一声に耳を傾ける支持者ら=五島市内

 23日に告示された五島市長選は現職の野口市太郎候補(64)と、新人の中西大輔候補(31)による一騎打ちの構図となった。野口氏は人口減対策などの実績を挙げて「継続」を、中西氏は市民の声が政治に反映されていないとして「変化」を呼び掛けた。新型コロナウイルスが島の経済や暮らしにも影を落とす中、市民は論戦に注目している。
 同市は2004年、旧1市5町の合併で誕生。現人口は約3万5千人で、合併時から1万1千人超減った。移住者や観光客が増えているが高齢化や過疎化も進み、医療・介護人材の確保、二次離島を含めた交通サービス維持なども課題だ。
 野口氏の出陣式には、自民、公明の市議団や地元経済団体の関係者らが集結。野口氏は、雇用創出や子育て世代の負担軽減、移住施策などにより「人口流出に歯止めをかけた」と実績を強調。新型コロナ禍でダメージを受けた地場産業の振興や、医療・検査体制の整備といった施策に取り組み、「五島をコロナから守る」などと訴えた。
 中西氏の出陣式には立憲民主の山田勝彦県連代表や市議らが参加。千葉出身の中西氏は島の自然や人の温かさに引かれて移住したことを紹介。開催場所に、かつて新ごみ焼却施設建設を巡り住民が現市政に反発した大浜地区を選び、「大浜では切実な思いが無視された。困っている人や弱い人の声を聞く政治に変えよう」と呼び掛けた。
 両陣営は新型コロナ対策で「密」を避けた選挙戦を模索。野口陣営は出陣式の出席者に傘を差してもらい、ソーシャルディスタンス(社会的距離)や熱中症対策に配慮。中西陣営も集まる人数を絞り、住民と握手の代わりに「肘タッチ」を交わして支持を求めた。
 今後4年間の市のかじ取り役をどちらに託すのか。市内の女子高校生(18)は「少子高齢化にどう向き合うか、全世代のことを考えて具体的に示してほしい」と要望。無職男性(72)は「五島の魅力が生きるのは観光。コロナ対応をどうするのか考えを聞きたい」と話した。

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