日本の文化「俳句」とは?季節を表現する季語や作り方、有名な俳句をご紹介

世界でも珍しい、十七音という短い詩・俳句。この記事では俳句の歴史と古典作品、現代のアニメにも登場する俳句をご紹介!さらに外国語で俳句を作るときのポイントまで解説します。

俳句とは

俳句とは、五・七・五の十七音で表現するとても短い詩です。また、その十七音の中に「季語」という春夏秋冬の季節を表す語を一つ入れるという決まりもあります。ただしこれは基本ルールなので、日本の有名な俳句の中にも十七音より少し多いものや足りないもの、季語のないものもありますよ。
俳句の源ともいえる「俳諧連歌(はいかいれんが)※」は16世紀ごろから盛んに作られていましたが、内容は俗っぽく、おかしさを楽しむものでした。それに対して、最初の五・七・五だけを独立させ、芸術へと高めたのが17世紀に活躍した松尾芭蕉です。芭蕉の句はこのあとご紹介しますので、楽しみにしていてくださいね!

※五・七・五の句に、他の人が七・七を足し、さらに他の人が五・七・五を足して…というように、詠み手を交代しながらつなげていく言葉遊び。

季語とは

春夏秋冬の季節を表すため、詠み込まれる語が「季語」です。「季語」は現代日本人には難しい古典的な語もありますが、中には「アイスクリーム」(夏の季語)といったユニークなものも。
では、春夏秋冬の代表的な季語を見てみましょう。

春…朧(おぼろ)月夜、春光、水温(ぬる)む、雛(ひな)
夏…夏の宵、夕立、青田、風鈴
秋…鰯雲(いわしぐも)、新米、虫売、枝豆
冬…鐘氷る、オリオン、氷柱、毛糸編む

季語を見るだけでも、気候や自然の風景のほか、食ベ物や行事など、日本の四季が分かります。外国語で俳句を作る際には、自分の国の季節や文化に合わせて季語を作ってみても面白そうですね!

有名な俳句を味わおう!

では、多くの日本人が知っている有名な俳句を3つご紹介します。情景を思い浮かべながら味わってみてください。

夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡
松尾芭蕉

【意味】
暑い夏の古戦場に、青あおと茂った草むら。ここは有名な武将や、付き従う兵たちが命を落とした場所。当時の栄華は、一時の夢となってしまった。

松尾芭蕉がこの俳句を詠んだ場所は、世界遺産でもある岩手県の中尊寺。しかし、ライターはテレビでエジプトのピラミッドを見たときにも、この俳句を思い出します。権力のはかなさや自然の強さは、世界中の遺跡にも共通するものだと思いませんか?

閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声
松尾芭蕉

【意味】
岩が積み重なったような山上にある古刹・立石寺(りっしゃくじ)。松の老樹や岩に生えた苔、扉の閉まったお堂。物音一つしない空間に響く蝉の声は、岩に染み込んでいくようだ。

こちらは山形県にある立石寺で詠まれた俳句です。この俳句の面白さは、うるさいほど蝉が鳴いているはずなのに、周囲の音を「閑さや」と表現したところ。動きのないひっそりと静まった空間の中で、ただ一つ響く蝉の声さえもその空間に吸い込まれていくような雰囲気が感じられます。

写真は中尊寺

菜の花や 月は東に 日は西に
与謝蕪村(よさぶそん)

【意味】
見渡すかぎり一面に咲く黄色い菜の花。その地平の東の空には月が昇り始め、一方、夕日は西の空を赤く染めながら沈もうとしている。

先ほどの2つは夏の季節の俳句ですが、こちらは春の終わりです。兵庫県にある摩耶山の頂から菜の花畑を見下ろして詠んだと言われています。菜の花の黄色、赤く染まる夕日、そして暗い空に金色に光る月と、時間と色の移り変わりが美しいですよね。当時の菜の花畑はもうありませんが、現在の摩耶山にはロープウェーがあります。夕方から夜景までの景色の変化を山の上から楽しめますよ。

ペットボトルやアニメにも俳句が?!現代日本の俳句事情

先ほどご紹介したものは17世紀から18世紀の俳句でしたが、現代でも日本人にとって俳句は身近なものです。
例えば、日本のコンビニで「お~いお茶」というペットボトルの緑茶の、ボトル側面にも俳句が掲載されています。そこに書いてある俳句は、一般から募集した200万近い俳句の中から選ばれたもの。幼児から高齢者まで幅広く募集していますが、最新の受賞作品でライターが気に入っているのは、18歳の高校生が詠んだものです。

駅を出て 街のかけらと なってゆく

電車から一斉に降りた人たちが、自分の家に帰っていく様子を詠んだものですが、人にはそれぞれ大切な日常があることも感じさせてくれますよね。ちなみに「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」には英語俳句の部もあるので、ぜひ挑戦してみてください。

もう一つ、日本人にとって身近な俳句といえば、人気アニメ「ちびまる子ちゃん」の中で、まる子の祖父・友蔵が詠む「友蔵 心の俳句」です。うれしいとき、悲しいときなど、友蔵は大きく感情が動いたときに、そのときの気持ちを俳句にします。コミカルなアニメの中で、友蔵の俳句がアクセントになっていてとても面白いですよ。
では、ライターお気に入りの「友蔵 心の俳句」を一つご紹介。友蔵がまる子に、年金が入ったから好きなお寿司を食べていいと言って寿司店に連れて行ったところ、まる子は遠慮なくウニなど高価なネタを頼んだため、財布の中身が心配になった友蔵の一句です。

ウニなんて わしも食べたい だけどシメサバ

おいしそうに食べるまる子を横目で見つつ、自分は安いシメサバを食べる友蔵の悲しさが伝わってきますね。

外国語でも作れる!俳句作りのポイントをやさしく解説

ここまでご紹介したものは日本語の俳句ですが、俳句は日本語以外の言語でも作られています。ここでは外国語で俳句を作るときのコツをお伝えします。
一番のポイントは、五・七・五に言葉を当てはめる際に、文字数ではなく音節で考えること。そのように作ると、音の響きが日本語の俳句に近くなります。十七音節だと単語数や文字数がかなり限られますが、その分言葉の感覚を研ぎ澄ませて、表現したい景色にぴったりの言葉をひねり出す面白さがあります。
季語は日本で使われているものを翻訳してもいいのですが、せっかくなので、自分の国ならではの季語を考えてみては?皆が楽しみにしているイベントや、季節のデザートなど、季節を感じられるものであれば何でも自分の国だけの季語になります。日本にはない俳句を作って、楽しんでみてくださいね!

いかがでしたか?自宅で日本文化に触れるのに、俳句はぴったり!俳句を作ったら、オンラインで友達と披露しあってもいいですね!

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

© NTT DOCOMO, INC.