空気清浄器、レジャー用品など好調 コロナ禍 酷暑の消費動向 花火や氷 イベントなく不振

花火全体の売り上げは減ったが、手持ちタイプに限っては伸びた=長崎市、錦昌号

 新型コロナウイルス禍の酷暑。空気清浄器やレジャー用品、うがい薬が飛ぶように売れ、野菜は購入者が二の足を踏むほど高値に。一方、プールや映画館の客入りは今ひとつ。花火や氷も振るわなかった。
 長崎市中央卸売市場で卸売を担う長崎大同青果(同市)によると、7月の長雨や日照不足で主力の長野産や北海道産の葉物が品薄となり、8月1~13日の平均単価は前年同期比380%のハクサイを筆頭に、キャベツやカボチャが150%を超えた。九州産トマトも200%に上昇。売れ行きが鈍り、生産も回復傾向のため同社は「徐々に通常の値に戻る」とみている。
 スーパーの新鮮市場たなか住吉本店(同市住吉町)ではレタスが一時1玉600円に。谷口晋市店長は「売り切るために原価より下げたこともあった」。一方、価格変動が少ないモヤシやシイタケ類が人気。40代女性客は「カット野菜や袋に小分けされたレタスを買う」と話した。
 同市内の薬局チェーンによると、大阪府知事が感染対策として薦めた、うがい薬の入荷待ちが続く。熱中症対策の経口補水液は、高齢者も飲みやすいゼリー状の人気が高まっている。
 ベスト電器長崎本店(同市浜町)は空気清浄器が7月以降、前年の約6倍、180台近く売れた。事業所向け県助成(上限10万円)を追い風に、予約しても2カ月待ち。店長は「普通ではあり得ない」と驚く。特別定額給付金で冷蔵庫やテレビを買い替える動きも続いている。ホームセンターのミスターマックス(福岡市)の県内2店舗は8月、家庭用プールの売り上げが384%に伸びた。テントやバーベキュー用品などキャンプ関連も184%。広報は「屋外や近場で家族と楽しむ人が多いのでは」。
 花火の錦昌号(長崎市新地町)によると、書き入れ時の盆は帰省客が少なく、精霊船の減少・小型化もあって、売り上げは例年より4~5割程度ダウン。ただ線香花火など手持ちタイプは伸び、張仁春代表取締役は「家庭で楽しむ人が増えた。花火は屋外で距離を取って遊べる」。大村製氷(大村市東大村2丁目)の担当者は「猛暑で伸びるはずが…」と肩を落とす。売り上げの約2割を占める祭りなどのイベントが今年はゼロに。8月は前年比3割減と「今までにない落ち込み」になる見通しだ。
 長崎市民総合プール(同市松山町)の夏休みの人出は例年の4~5割減で「夏休みが例年より短い上、感染を懸念する人も多いのではないか」。TOHOシネマズ長崎(同市茂里町)は好調だった昨年の夏休みと比べると約6割減。コロナ禍で洋画の新作上映がほぼ途絶え、密を避け座席数も絞った。市内の新規感染者数がやや落ち着いた盆以降は客足も戻りつつある。

 


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