開幕9連勝の巨人菅野の凄さとは? 専門家が見た高い修正能力と捕手の育成

巨人・菅野智之【写真提供:読売巨人軍】

巨人でプレー、楽天でヘッドコーチを務めた松本匡史氏が解説

■巨人 8-4 ヤクルト(25日・神宮)

巨人がヤクルトを8-4で下し、連敗を3で止めた。先発の菅野智之投手が7回5安打2失点の好投で、開幕から無傷の9連勝。巨人では、堀内恒夫氏がルーキーだった66年にマークした開幕13連勝以来となる54年ぶりの記録となった。現役時代、巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球評論家の松本匡史氏は試合途中での修正力を評価。制球力と組み立てが捕手大城の育成にもつながっていると解説した。

立ち上がりはあっという間に先取点を奪われた。初回、先頭の坂口に左前打を許すと、山田も中前打。青木には3連打となる右前適時打を打たれ、1死も取れないうちに、わずか5球でリードを許した。さらに2死三塁から菅野キラーの5番雄平にも左前適時打を献上。ストライクを取りにいったボールを次々と打たれ、早々と2点を許した。

だが、その後の快投がこの日の勝ち星につながった。2回以降、許した安打は3回の先頭坂口のみ。ヤクルトの40歳左腕石川との我慢比べの投げ合いが続く中、追加点を許さなかった。松本氏はこの日の菅野の投球について「初回は浮いたボールを打たれて2失点したが、2回以降ギアを上げた。ヤクルト打線もファウルで粘っていたが、それにも負けず、粘り強い投球だった。四球を出してもおかしくないところでしっかり打ち取ったことが勝ちにつながった」と分析した。

「インタビューでは褒めているが、逆に大城は菅野によって成長させられている」

マウンドでの修正力が生きた。松本氏は「初回の2点は彼の気持ちの中では、本来取られてはいけない2点だったと思うが、試合の中で修正できるのが彼のいいところ。調子が悪いと、それを分かっていてもできないものだが、今季勝てているのは常に状態が良く、打たれても切り替えができているからだ」と指摘。さらに「捕手とともに組み立てを考えながら、それぞれの打者に対し、どう打ち取っていったらいいかも分かっている」といい「彼はインタビューではよく大城のことを褒めているが、捕手からすると狙ったところにボールが来る、リードしやすい投手。逆に大城は菅野によって成長させられていると思う」と、プロ8年目を迎えた菅野の経験値と抜群の制球力が、捕手の育成にもつながっていると話した。

この日の菅野は打撃でもチームの勝利に貢献した。3ー2で迎えた7回2死満塁のチャンスでヤクルト大下の外角甘めに入ったスライダーを左中間に運ぶ走者一掃の3点適時二塁打。エースがバットで試合を決めた。松本氏は「打撃もすごくいい。センスがあって、しっかりボールを捉えられている」と、菅野の9番目の打者としての仕事ぶりにも目を細めた。堀内氏や桑田真澄氏ら、打撃の良かったエースのように背番号18の系譜を辿っている。

これで巨人は今季31勝目。その中で、開幕から10試合で無傷の9勝目を飾った菅野。12球団トップの防御率1.61という圧倒的な数字でチームを引っ張るエースの活躍が、首位を走る巨人の順位にもしっかりと反映されている。(Full-Count編集部)

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