マネージャーを持たないベッテル、現在の難局においても契約交渉は自身で行う意向

 フェラーリF1チームのセバスチャン・ベッテルは、個人マネージャーにF1キャリアを導いてもらうのではなく、常に自分自身と、信頼を寄せる限られた周囲の人々のサポートを得て活動を行ってきた。

 ベッテルはグランプリレースの世界において、自身で契約交渉を行う数少ないドライバーのひとりだ。2020年末でフェラーリから離脱することが決まり、F1での将来に関わる話し合いと交渉が極めて重要な今も、彼は方針を変えるつもりはないと明かした。

 若きチャンピオンであった時代、ベッテルのマネジメントはレッドブルが請け負っていた。2014年末にレッドブルを離脱した後は独力でやっていくことになったが、それは4度の世界チャンピオンである彼の性に合っており、現在に至るまでそのスタイルを維持することとなった。しかしF1界においては、非常に珍しいケースであるといえるだろう。

 ベッテルは『Sky Germany』のコンサルタントであるラルフ・シューマッハーに、なぜマネージャーをつけないのか尋ねられると「それは良い質問だ」と答え、以下のように続けた。

「(マネージャーがいれば)いろんな面で役に立つのだろうけれど、でもこれが、いつも僕がやってきたやり方なんだ。とはいえ、もちろん助けてくれる人たちはいるので、そういう意味で、ひとりきりでやってきたとは言いたくない」

「でも世間の意見よりもさらに重要なのは、誰が信用できて、誰が頼りになるかが分かっていることだと思う」

 ベッテルは自身で契約交渉を行う一方で、PRとメディア対応のすべては、信頼を寄せるブリッタ・ロースケに任せている。

セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)と広報担当のブリッタ・ロースケ

「僕は良い環境にいると思う。今もそれについては確信を持っている」と33歳のベッテルは付け加えた。

「僕は外から見た印象がどうかとか、人々が考えていることや言ったことに影響を受けることはない。ありがたいことに、そうしたことが僕にとって重要だったことはないんだ」

「すべてのことを把握しているわけではない。でも何かがうまくいかなかったときは、当然ながら最初に一番悩まされるのは自分であり、形勢を逆転させようと最初に考えるのも、自分自身なんだ」

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