2番起用あわや大失敗… サヨナラ打のDeNA大和にラミレス監督「信じていた」

1、2打席目は併殺打、3、4打席目は得点圏で三振も、5打席目はサヨナラ打

■DeNA 5-4 広島(25日・横浜)

DeNAは25日、横浜スタジアムで行われた広島戦に5-4でサヨナラ勝ちし、連敗を3で止めた。序盤のリードをリリーフ陣が守れず、追いつかれる展開で試合を決めたのは、負ければ“戦犯“になりかねない選手の一打だった。

ラミレス監督は、先週末の中日3連戦で1点しか奪えなかった打線を組み替えた。大和を今季初めて2番に入れ、5番に宮崎、6番に神里を起用、ロペスは7番に下がった。指揮官は「大和は右投手に対していい結果を残しているし、横浜スタジアムでの数字もいい。1番の梶谷が出塁して、2番が大和ならなんでもできる。いかに早く序盤に点を取れるか、ということを考えた」と、その意図を説明した。

そんな指揮官の思惑通り、梶谷は1打席目から4打席連続安打を記録したが、肝心の大和が機能せず。無死一塁の場面での1、2打席目は併殺打。得点圏に走者を置いた3、4打席目はいずれも三振に倒れて、広島を突き放すチャンスを逸した。

そして、同点で迎えた9回に第5打席が巡ってきた。2死二塁のサヨナラのチャンスで梶谷は申告敬遠。一、二塁となった直後の一打だった。広島5番手の塹江の初球を振り抜いた打球は、極端な前進守備を敷いていたセンターの頭上を超えるサヨナラ打となった。

ラミレス監督「2番に使ったのは理由があるからだと信じていた。このためだったんだなと」

大和は「梶谷が敬遠されることは予想していたので準備はできていた。自分の中で割り切って打席に入れたのがよかったと思う」と最後の打席を振り返った。「球種などは考えず、とにかくファーストストライクを振り切ろうと思った。打った瞬間、抜けると思った」と喜んだヒーローは「今日は打席に入って何をやっても全然ダメだったので、腹をくくろうと思っていた。とにかく打てて、ほっとしている」と開き直りの一打だった。

同点に追いつかれた直後の7回2死二塁で三振に倒れており「前の打席も取り返すチャンスだと思っていたが、打てなかった。最後にもう一度、いいところで回ってきたので、なんとかしようと思った」と執念が実った。「今シーズン、初めて2番で使って、こんな結果を残してくれてよかった」と喜んだラミレス監督は「最初の2打席はダブルプレーで、4打席目まで精彩を欠いていたが、今日2番に使ったのは理由があるからだと信じていた。最後の最後の場面で回ってきて、このためだったんだなと思った」とポジティブ思考を貫いた。

「いかに早い段階で得点するか」という当初の思惑は外れたが、最後の最後に野球の神様は最高の舞台を用意していた。広島サイドから見れば、5打数5安打の可能性を嫌って、最悪の4打席だった打者を選択して、試合を落とす結果になった。“意地の一打”は確率論なのか、精神論なのか、ラミレス監督風に言えば、「これも野球」ということになるのか。いずれにしても、まるで仕組まれたようなような結末が実際に起こってしまう野球というスポーツは、やっぱり面白いと実感させられる試合だった。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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