ライバルは再び周回遅れだ! 新型レヴォーグ搭載「アイサイトX」は+35万円の価値ありな超絶・高度先進運転支援機能だった

スバル 新型レヴォーグ GT-H EX(プロトタイプ) [撮影:小林 岳夫]

高度運転支援システム「アイサイトX」を支える数々の新技術

高精度地図や全画面液晶メーター、ドライバーモニタリングシステムなど多数の新アイテム

スバル 新型レヴォーグ GT-H EX(アイサイトX搭載車)のインパネ

前回は新型レヴォーグ全車に搭載されるスバルの新世代アイサイトについてご紹介したが、今回はその上位版、高度運転支援システムというべき「アイサイトX」についてレポートする。

アイサイトXの充実ぶりは、実際にテストコースで体験してみて、おおお……と唸らされるものだった。

ドライバーモニタリングシステム

こちらはアイサイトの仕組みに加え、準天頂衛星をも利用したGPS情報と高精度地図データを活用して、主に自動車専用道路でアダプティブクルーズコントロールをONにしているときのアシスト機能をグッと高めたものだ。

具体的には3D高精度地図ユニット、アイサイトXの作動状況を解りやすく表示できる12.3インチのフル液晶メーター、運転者の動きを観察するドライバーモニタリングシステム、操舵の様子を高精度で検出するステアリングタッチセンサーといったデバイスが追加されている。

大歓迎! ハンズオフ機能の採用で渋滞時の負担が大幅に軽減する!

「渋滞時ハンズオフアシスト」動作イメージ。ドライバーモニタリングシステムにより、ドライバーがよそ見などすると解除される仕組みとなっている

これらの新アイテム投入によって、アイサイトXでは「渋滞時ハンズオフアシスト」と「渋滞時発進アシスト」が可能になった。

ハンズオフは高性能地図データの中に登録されている道を時速50キロ以下で走るときのみ可能になるのだが、手放しでも自分の車線の中を全くフラつくことなく走るし、前走車に合わせての加減速もかなりスムーズである。

しかも、前走車が停止すれば自分のクルマも停止するというのはもちろんだが、前走車がスタートすればスイッチ操作もペダル操作も何もせずとも黙ってスタートし、自然に加速していくのだ。停止、発進、停止、発進。その繰り返しを当たり前のように、黙々とこなしてくれる。

つまり時速50キロ以下では完全なハンズフリー走行が可能、というわけだ(もちろん、ドライバーモニタリングシステムによりドライバーがよそ見などすると解除される)。

クルマを運転するのは好きだけど、渋滞の中で運転するのは嫌だ、という多くのドライバーに感涙モノといえる機能だろう。

渋滞や車線変更、カーブ前も安心できる

アクティブレーンチェンジアシスト

「アクティブレーンチェンジアシスト」も、かなり有効な機能だと思う。

簡単にいうなら、ウインカーを操作するとクルマがステアリングの制御を行って自動的に車線変更をしてくれるもの。

その際には移動しようとしている側の後方に別のクルマがいるかどうかを確認して、そのクルマが近づいてきてるなら車線を変えずに待機、そのクルマが自車を追い抜いていった後に車線変更を開始する、という流れだ。

車線変更が苦手な人に嬉しい機能であるのはもちろんだけど、ベテランであっても疲れてるときには確認ミスをおかしがち。助けられることもあるだろうと思う。

ACCの「ここが改善されればな」を実現! カーブ前速度制御・料金所前速度制御に注目!

テストコース上でパイロンを囲み料金所に見立てた区画を設定。地図データにテスト用の設定を書き加え試走した
「カーブ前速度制御」は、スバルの実地チューニングの成果により違和感のないスムーズな動作が行われていたのが印象的だった

「カーブ前速度制御・料金所前速度制御」もなかなかのものだった。例えば時速100キロで走行してるとき、高精度地図ユニットが時速70キロの通過が適切と捉えている急カーブのコーナー。

あるいは、時速20キロ以下の通過速度が推奨される料金所のETCブースに差し掛かると、アイサイトの前車追従機能付きクルーズコントロール(ACC)をセットしたままにしていても、適正な速度にまで自動的に減速をしてくれるのだ。

そしてそこをクリアすると、自動的に設定した速度へと回復する。その加減速の様子はとても自然。違和感らしい違和感を覚えさせないところにも感心させられた。

これで救われる命がある! 「ドライバー異常時対応システム」の素晴らしさに感服

自動通報サービス「ヘルプネット」などとも連動

ドライバー異常時対応システム

最も感服させられたのは何かといえば、「ドライバー異常時対応システム」だった。その名のとおり、ドライバーが急病などで操作不能となった場合に、クルマを減速・停車させて事故のリスクを下げようという機能だ。

例えばアクティブクルーズコントロールで巡航しているときにステアリングを保持しない状態が続いたり、渋滞時ハンズオフアシストで走っているときにドライバーモニタリングシステムが異常を検知したりすると、まずは警告音で反応をうながす。

ドライバーの急病などの緊急事態に対応する「ドライバー異常時対応システム」の動作テストシーン。警告に対しドライバーの運転操作(反応)がない場合、直線路で停止し、同時にホーンを断続的に鳴らして周囲に異常を知らせる。

その時に反応がなければハザードランプを点滅させながら減速に移り、時速30キロ程度まで車速が落ちると断続的にホーンを鳴らすことで周囲に警報を与えながら車線内に停止させる、という流れだ。

どこかのタイミングでドライバーがステアリングに触れれば機能は中断できるし、またコーナーの途中で作動がスタートした場合には直線に入るまでは車両を停止させない配慮もある。この流れで自動停止した場合や車両が大きな衝撃を受けた場合には、コネクティングシステムを通じた緊急通報システムが稼働する。

僕は綺麗サッパリ意識がある状態で運転席に座って停止するまでを試したのだが、一連の流れの実にスムーズなこと! これで救われる命がいくつもあるのだ、ということが充分に予想できる体験だった。

これだけの超絶高機能が大画面縦型モニターナビとセットで35万円+税なら絶対に装備すべきだ

そしてこれも最も大切なことのひとつなのだけど、スバルがツーリングアシストと呼ぶ加減速とステアリングアシストを自動的に行うアダプティブクルーズコントロール。その動きがかなり自然で滑らかなものであることにも触れておくべきだろう。

特に車線の中央をキープするために介入してくるステアリングの制御も、だいぶムリヤリ感のない滑らかなものに感じられた。

ちなみにアイサイトXは、新型レヴォーグの3つの全グレードに+35万円(税抜)のオプションとして設定される。けれど今回あれこれとテストコースで体験してみて、可能であるならエクストラコストを支払ってでも備えるべき、と感じさせられた。

安全を得るためのこれだけの機能が大画面縦型モニターや高精度ナビ、液晶メーターなどとのセットで35万円というのは、間違いなくバーゲンプライスだと思うから。

スバルはこのレヴォーグを皮切りに他のモデルにも新世代アイサイトとアイサイトXを導入していくことになるのだろうけど、とりわけ世界でもトップレベルの領域にあるといっていい高度先進運転支援機能は、しばらくの間は充分なアドバンテージになることだろう。

(続く)

[筆者:嶋田 智之/撮影:小林 岳夫・SUBARU]

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