潜伏キリシタン関連遺産登録2年 来訪者、前年から5割減 県「情報発信に努めたい」

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の来訪者数

 世界文化遺産登録から2年を迎えた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の来訪者数が、昨年7月~今年6月までの1年間で、前年同期比約5割減の49万6559人にとどまったことが県のまとめで分かった。背景には新型コロナウイルスの影響もあるが、月別にみると、コロナ禍より前から来訪者数は目減りしており、県は「(世界文化遺産)登録の効果が薄れてきている」と分析。「ガイドなどの人材育成や効果的な情報発信に努めたい」としている。
 県観光振興課によると、集落ごと登録された構成資産では代表的な建物の来訪者数で計算。登録前(2017年7月~18年6月)の来訪者数は60万5018人。登録1年目(18年7月~19年6月)は前年同期比1.55倍の93万6765人だった。
 昨年7月~今年6月で、来訪者数の減少率が最も大きかったのは、原城跡(南島原市)で、前年同期比69%減の1万5342人。黒島の集落(佐世保市)が同65%減の2121人、外海の出津集落(長崎市)が同62%減の2万4481人。全体の来訪者数を月別にみると、コロナ禍より前の昨年7月~今年2月でも約2割減の状態が続いていた。
 登録効果が薄れつつある中、同課は「遺産群の価値を理解してもらうには、見るだけではなく、キリスト教の伝来期と復活期を含むストーリーを伝えることに尽きる」と強調するが、団体客に比べ、個人客はガイドを付けない傾向があるという。
 こうした現状を受け、県は各市町に聞き取り調査をするとともに、秋ごろから外海の出津集落と頭ケ島の集落(新上五島町)に定点ガイドを配置。従来のガイド、機械の音声ガイド、または両方を配置して、ニーズを調べる実証事業を実施する方針だ。

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