にっぽん丸衝突は「船長の誤操船」 運輸安全委報告 飲酒との関係解明できず

船尾の穴をふさぐ仮修理を終えたクルーズ船「にっぽん丸」(運輸安全委員会提供、画像の一部を修整しています)

 クルーズ船「にっぽん丸」(2万2472トン)が米領グアムの港で桟橋に衝突した事故を巡り、運輸安全委員会は27日、船長が離岸時に誤った操船を続けたことが原因とする調査報告書を公表した。船長が規定に反して出港の約3時間前まで飲酒していた問題については、体内のアルコール量を特定できず、飲酒と事故の因果関係は解明できないとした。

 にっぽん丸は商船三井客船が運航。事故は現地時間の2018年12月30日午後9時すぎに発生した。船長は普段と異なる立ち位置や体の向きで操縦装置「ジョイスティック」の操作を誤り、後進を続けて桟橋に衝突したとされる。船の後部2カ所に穴があいたが、乗員乗客624人にけがはなかった。

 報告書によると、船長は事故当時、自分の操船が正しいと思い込んでおり、航海士や水先人からの再三にわたる助言も意図が理解できなかったとしている。計器の確認も怠り、船長の認識が実際の操船内容と相違があったと結論付けた。

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