異例ずくめの夏、野菜や果物高騰 「巣ごもり」で高値続き生育不良が家計に追い打ち

スーパーなどではレタスをはじめ多くの野菜類が高騰している(京都市中京区)

 7月の長梅雨と8月の猛暑の影響で、生育の進まなかった野菜や果物の価格が京都でも軒並み値上がりしている。新型コロナウイルスによる「巣ごもり」需要でただでさえ高値が続く中、生育不良の追い打ちに消費者はため息をつく。今夏はお盆の帰省状況が激減したため、スーパーなど小売各社の売れ行きにも異変がみられ、異例ずくめの夏になった。

 京都市中央卸売市場(下京区)での今月1~19日の卸売価格を前年同期と比べると、レタス226%、ハクサイ220%、金時ニンジン181%と野菜の大部分が大きく高騰。果実もリンゴのフジ184%、大玉スイカ155%と、同様に高かった。

 大阪管区気象台によると、今年の近畿地方の梅雨明けは平年より10日遅い7月31日。7月の京都市の日照時間は平年の半分以下で、統計のある1890年以降で最も少なかった。8月は一転して高温の日が続出。最低気温が25度を下回ったのは数日しかない。

 野菜や果実の生育には昼夜の寒暖差が必要だが、夜に気温が下がらず「生産に支障が出ている」(京都青果合同)という。産地での生育不良は小売店の販売価格に反映され、中でもレタスの値上がりが深刻だ。

 京都生活協同組合(南区)では、レタスは長期契約の産地直送で販売価格の高騰を一定程度に抑えているものの、御所南店(中京区)では1個270円と通常時より100円ほど高くなっている。買い物に訪れた上京区の主婦(66)は「安売りの日に買うなど工夫しているが、年金暮らしの身にはこたえる」と漏らした。

 コロナ禍の下で迎えた今年のお盆は、帰省に伴う人の移動が激減。スーパーなどの「里帰り商戦」にも異変をもたらした。

 京都市内に過半数の店舗を持つ京都生協では通常、お盆期間は売り上げが落ち込むが、8月7~13日は前年同期比16.7%のプラスだった。果物など手土産関連が振るわなかったが、自宅で食べる野菜類などが引き続き好調だった。

 一方、府北部が地盤のさとう(福知山市)では、いつもなら都市部の人たちが帰省してくるお盆期間が繁忙期に当たる。だが今年は多人数での集まりが避けられ、大皿のすしや総菜のオードブル、パーティーメニューが例年ほど売れなかった。

 京都市中央卸売市場によると、猛暑で日照不足は改善されてきたため、野菜や果実の価格上昇は9月にはある程度の一服が見込めそうだという。

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