ヤクルトなど4球団で活躍した野口寿浩氏が今季初勝利の楽天・松井裕樹を分析「かなりの戦力として計算できる」と評価するも…
■楽天 15-0 ロッテ(27日・楽天生命パーク)
今年先発に転向した楽天の松井裕樹投手がロッテ戦で7回1安打無失点の好投をみせ、今季初勝利を収めた。試合は15-0で楽天がロッテに圧勝。チームの連敗を4で止めた。松井は、毎回の11三振を奪う快投。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、18年までヤクルトで2年間、バッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、松井が今季6試合目の先発でようやく白星をつかめた理由について「先発としてのペース配分を掴んだこと」と解説。また、改善すべき点として「投球の間合いが長いので、テンポを速めるべき」と指摘した。
ピンチを招いても崩れなかった。初回は1死から連続四球を与えたが、後続の安田、井上を投ゴロ、二飛に打ち取り、無失点での立ち上がり。3回には先頭の藤岡に、この日ロッテ唯一のヒットとなった中前打を許し、1死二塁から再び四球を与えたが、続くマーティン、安田を直球で連続の空振り三振に仕留め、ピンチを脱した。そして4回以降は安打を許さず。6回2死から7回にかけては4者連続で空振り三振を奪った。今季最多となる7回105球を投げ、欲しかった今季初白星を引き寄せた。
松井は今季、これまで3試合で5回まで持たずに降板するなど、先発転向後、結果を残せずにいた。だが、この日は違った。
松井の投球内容について、野口氏は「もともと能力の高い選手。今日のような投球を続けられるのであれば、この先、先発として、かなりの戦力として計算できる」と評価する。「今まで苦しんできたのは、先発としてのペース配分を模索しながらの投球だったから」だといい、「長いイニングを投げなきゃいけないという頭があったと思うが、3月の時点では脱力して投げることが全然できておらず、直球も130キロ台だった。だが、ある程度力を入れて100球という投球を考える中で、前回の登板からそれが少しずつできてきた」と、先発としてのペース配分を掴めてきたことを勝因に挙げた。
「先発はゆっくり投げていると野手がダレてしまう。リズムが生まれるようにするためにも」
松井はプロ1年目の14年こそ先発を務めていたが、15年以降は抑えを任され、絶対的守護神としてチームを支えてきた。野口氏は、抑えから先発への転向について「投手のタイプにもよるが、一般的には先発から抑えに転向するよりも難しい。ましてや、松井はプロでは先発の経験が少ない投手。ランニングの種類も変わるし、練習メニューも自分で見つけていかないといけない」と言う。1イニングを全力で投げるリリーフと、ペース配分を考えながら投球を続け、試合を作らなければならない先発。抑えから先発への適応が簡単ではない中、ようやくつかんだ白星だった。
だが、まだ先発としての改善点も残っているという。野口氏が指摘するのは、松井の投球の間合いの長さだった。
「クローザーの時は1、2点のリードの中でじっくり投げればいいが、先発はゆっくり投げていると野手がダレてしまう。この日の試合は連敗している中で、野手も負けられないという思いがあり、試合に集中していたが、あのテンポで投げていたら、そのうち野手が守備で足を引っ張ったり、打てずに点が取れないということになりかねない。チーム全体としてリズムが生まれるようにするためにも、間合いを短くしたほうがいい。そこが一番簡単に改善できるところですね」
この日は打線の大量援護もあり、一歩的な展開となったことで、試合の流れがロッテに傾くことはなかったが、今後、接戦となった時には同じようにいくとは限らない。松井がテンポのいい間合いで投球を続けていけば、今後、先発として白星を重ねていけるチャンスも増えてくるはずだ。(Full-Count編集部)