大分トリニータ 9月の連戦を前にポジション別最新序列 CF&シャドー編

 8節・鹿島戦から始まった8月の7連戦を終えた。連敗もあったが、直近の3試合は1勝2分の負けなし。低迷期を脱しつつある背景に、「ほぼ同じメンバーで戦えている」(片野坂知宏監督)ことが挙げられる。片野坂監督は選手起用に関して、J1レベルでパフォーマンスが発揮できるかを基準とし、ある程度の固定メンバーを軸に「コンディションがいい選手を優先して起用する」との方針を示している。

 今後も連戦が続き、先発メンバーの顔ぶれはどう変わっていくのか―。ポジション別に最新序列からチームの現状を検証してみた。

 

【センターフォワード(CF)】

 

 5連敗中は知念慶、高沢優也、渡大生を起用したが、うまくフィットしたとは言い切れず苦戦した。10節・横浜戦で伊佐耕平を先発起用してから3試合負けなし。片野坂監督が掲げるサッカーを知り尽くす伊佐は、今季から加入した前述の3人に比べ、戦術を熟考したうえでプレーできている。昨季はけがを繰り返し、自身初のJ1でのプレーは不完全燃焼に終わり、今季に懸ける思いは強い。J1で通用するフィジカルの強さを示し、味方を生かすプレーを心得ている。28歳、選手として成熟期に達し、ポストプレーの技術をさらに磨いていけば、十二分に戦力として計算できるはずだ。

 

 二番手は知念。今季、新加入のなかで最も注目を集めた選手だが、思うような結果を出せずにいる。本来のポテンシャルを考えれば、CFの軸とならなければいけない選手。大きな期待がプレッシャーになり空回りした感がある。今後は途中出場を重ね、徐々にコンディションを上げ、周囲の選手との連係を高めたい。

 

 三番手以降は、シャドーのポジションと兼務した選手が多く、CFに特化した選手がいないのが現状。ただ、渡は「シャドーより1トップの方がこれまで(北九州や広島で)やってきたのでやりやすい」と話しており、伊佐、知念の2択に割って入る可能性はある。

 

伊佐耕平が先発復帰してチームは負けなし

【トップ下(シャドー)】

 

 多士済々のタレントがひしめく激戦区だが、これまでの試合で精査され、結果を残した高沢、田中達也、三平和司が一歩リード。伊佐同様に片野坂監督のサッカーを熟知する三平は、機転が利き、対戦相手によって自分の役割を柔軟に変化でき、2シャドーでコンビを組む相手を選ばない。前線の潤滑油として今後も重宝されそう。

 

 これを追う第2グループは混戦。昨季、チーム1のアシストを記録した小塚和季は、コンディション不良で始動から出遅れが響き、輝きを失っている。代わって浮上したのが町田也真人だったが、3節・広島戦で負傷退場してから出場機会を得ていない。野村直輝、小林成豪は出場機会を与えられたが、監督の信頼を勝ち取るまでのパフォーマンスを発揮できていない。

 

 ここに割って入ったのが強化指定の大学生2人だ。指揮官のコメントには井上健太、藤本一輝への期待があふれており、共にスピードと突破力を武器とするアタッカー。怖いものなしの勢いがあり、一気に先発での地位を築く可能性もある。

  

機転の利いたプレーで重宝される三平和司

 

(柚野真也)

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