安倍首相 辞意表明 長崎県内各界 コロナ対応「柔軟」、改憲「説明ない」

 長崎県内各界からは、新型コロナウイルス感染症対策や経済政策を一定評価する声が聞かれる一方、改憲や核廃絶を巡り手厳しい指摘が相次いだ。

 ■コロナ 
 県医師会の森崎正幸会長は「最初こそ医療関係者との間に危機感のずれがあったが、検査体制の充実など踏み込んだ柔軟な対応を取ってもらった」と一定評価。後任には「早く政府方針を表明し、スピード感を持って臨機応変な対応を」と求めた。

 ■経済 
 長崎商工会議所の宮脇雅俊会頭は中小企業支援や観光振興、地方創生を例に「地方の活力強化に尽力いただいた」とねぎらった。新型コロナで地域経済が疲弊する中、九州新幹線長崎ルートやカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を進める立場から「本県にとって非常に大事な時期。政治の空白が生じないようお願いしたい」と望んだ。

 ■改憲 
 首相は会見で「残念ながら、まだ国民的な世論が十分に盛り上がらなかった」と述べた。これに対し護憲派の市民団体「女の平和in長崎」の共同代表、井形和子さんは「そもそも丁寧な説明も議論もなかった。いつも上っ面な言葉ばかり。憲法を熟知していないのに、改憲に対する執念は異常で怖かった」と話した。
 改憲派の市民団体「長崎の原爆展示をただす市民の会」の渡邊正光代表は「改憲が頓挫し、がっかり。難しくても道筋をつけてほしかった」と肩を落とした。「若い人たちが安心して生きていくためにも、最低限の武力は必要」として、交戦権を否定する憲法9条2項の削除を熱望。次の政権に「改憲の道を模索し続け、(市民の)士気を高めてほしい」と期待をつないだ。

 ■核廃絶 
 首相は会見で「核兵器廃絶は私の信念」とも主張した。だが県平和運動センター被爆連の川野浩一議長は「『うそをつくな』という思いがした。保有国と非保有国の橋渡し役を務めていくべきとも述べたが、何をするのか全く分からず、最後まで具体的なものがなかった」と切り捨てた。

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