長期政権に終幕 安倍首相 辞意表明 長崎県民分かれる評価 核兵器禁止条約や日韓問題など…思い様々

安倍首相が辞意を表明した会見のテレビ中継に見入る買い物客=長崎市浜町、ベスト電器長崎本店

 約7年8カ月に及んだ長期政権が突如、幕を下ろすことになった。安倍晋三首相が積極的に推進したアベノミクス、成し遂げられなかった改憲、反対を続けた核兵器禁止条約、そして迷走気味だった新型コロナウイルス感染症対策-。県民はさまざまな思いを胸に、ひとつの時代の終わりを見つめた。

 「アベノミクスなど日本のために頑張ってくれた」。諫早市小川町の農業、前田貞松さん(69)は、辞任報道に驚きの表情を浮かべながらも、こうねぎらった。ただ「森友学園問題のような不祥事への批判に、もう少し耳を傾けてもらえたらよかった」と残念そう。島原市柏野町の自営業、森美月さん(25)は「在任中の改憲はかなわなかったが、これまでより議論を活発にした点は評価したい」と話した。
 新型コロナウイルス対策を巡って、長崎市八幡町の無職男性(83)は「高い税金をつぎ込んでマスクを全世帯に配布したのに、ほとんど誰も使っていないように思う」とばっさり。同市高島町の介護職、山下登志恵さん(57)は「特別定額給付金の10万円じゃ貧しい人は助からない。仕事を失い食べられない人や自殺する人もいるのに、もっとどうにか考えてもらわないと」などと訴えた。
 次の首相について、松浦市御厨町の農業、前田裕治さん(38)は「農産物の価格や農業経営の安定に向けた施策に力を入れ、若手が安心して就農できる環境をつくってほしい」と注文。東彼波佐見町村木郷で障害福祉事業所を営む林田ひろみさん(58)は「望むのは決断力。ドイツのメルケル首相やニュージーランドのアーダン首相のように、しっかりと国民と向き合える人になってほしい」と要望した。
 対馬市上対馬町比田勝でカフェを営んでいる宮城佳奈さん(44)は、日韓関係の悪化で対馬への韓国人観光客が激減しているとして、「次期首相には国際協調の旗振りができる人を」とため息交じりに求めた。

 


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