何年でセミリタイア可能?「頑張りすぎずに働きたい」夫婦の資産形成プラン

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、31歳、公務員の男性。ある程度お金が貯まったら、セミリタイヤを目指したいといいます。資産形成の方針は適正でしょうか。FPの伊藤亮太がお答えします。

私たち夫婦は頑張りすぎないをモットーにしており、ある程度資産に余裕ができたら、互いに年収を落としても、近場で多少精神的に余裕のある職場へ転職しようと考えています。夫婦共にパートでも良いと考えています。今世アーリーリタイアというのが流行っているらしいですが、労働は辞めない予定です。現在の資産運用を続けたとしてあと何年で転職可能でしょうか?

●高配当日本株:配当約33万/年 配当100万/年 が直近の目標

●つみたてNISA:emaxisslim 全世界、全世界(除く日本)、s&p500; 40万/年

●iDeCo:ニッセイ外国株式インデックス、exe-i新興国ファンド、exe-iグローバル中小株式ファンド、ifreeダウインデックス、国内債券インデックス 14.4万/年

●投資信託:sbi バンガード s&p500 定期買付 毎日 2000円 jreitファンド 定期買付 毎日300円

●現金預金:1500万円

【相談者プロフィール】

男性、31歳、公務員、既婚

同居家族について:妻、31歳、 助産師、年収600万円。子ども(0歳)

住居の形態:賃貸

毎月の世帯の手取り金額:50万円

年間の世帯の手取りボーナス額:200万円

毎月の世帯の支出の目安:20万円

【毎月の支出の内訳】

住居費:7万円

食費:3万円

水道光熱費:2万円

教育費:0.5万円

保険料:3万円

通信費:2.5万円

車両費:0.5万円

お小遣い:1万円

その他:1万円

【資産状況】

毎月の貯蓄額:30万円

ボーナスからの年間貯蓄額:200万円

現在の貯蓄総額:2200万円

現在の投資総額:700万円

現在の負債総額:なし


伊藤:ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太です。回答させていただきます。

教育費を確保したうえで貯められる金額は?

まず、頑張りすぎないとモットーにしておられる割には、かなり頑張っているような気がします。月に30万円の貯蓄、ボーナスからの年間貯蓄が200万円。これだけでも年間で560万円は貯蓄ができますよね。このうち、年間で170万円ほどが投資にまわっている状況です。貯蓄と投資のバランスとしてはよいのではないでしょうか。

仮に高配当日本株を年100万円へ引き上げると、年間240万円前後が投資資金に、貯蓄が年間320万円前後となります。なお、お子様への教育資金も貯めていかなければなりません。教育費など今後かかる費用として仮に年間で80万円前後を確保しておくとすると、実際に自由に使えるお金は貯蓄が年間240万円、投資資金も年間で240万円となります。

何を目標にするかに答えはない

アーリーリタイア・セミリタイアに答えはありません。そのため、ご自身で何歳まで働くと決めてもよいと思います。仮に金銭的な面から考えると、今後どういう生活をされるか?また田舎に引っ越して悠々自適な生活をされるのか、アーバンライフを送るのかでも全く異なります。そのため、はっきりこうした方がいいと断定はできません。

1億円貯めたら辞める。これでは足りないという方もいます。十分だという方もいます。そのため、仮に1億円貯めることができたらのんびりするという前提で検討していきたいと思います。現状の資産運用の状況から、年率3%前後のリターンは可能ではないかと考えます。グローバルな投資配分ができているためです。現状の運用金額と、今後年240万円が投資にまわった場合、10年後には運用金額は約3,692万円と試算できます。貯蓄金額は利子はゼロとみなすと4,600万円と試算できます。10年後には8,300万円ほど(教育資金は別)が構築できる見込みです。なお、給料が上がることは考慮しておりませんので、さらに上積みできる可能性があります。

総資産1億円になるのは何年後?

また、13年後には運用金額は約4,777万円、貯蓄金額は5,300万円(教育資金は別)となり、およそ1億円の資産が構築できる見込みです。

13年後には相談者は44歳です。65歳ぐらいまではゆっくり働きながら、貯めた資金をストックできれば老後資金は安泰とも試算は可能です。ただし、現在は公務員ということもあり、福利厚生などは恵まれていると思います。そうしたものが転職によりなくなる可能性があること、子供が増えた場合などはこの資産通りにはいかない可能性があることにはご注意いただきたいです。

50歳でセミリタイアした場合は?

もし、さらに資金を構築したうえでリタイアしたいということであれば、金額ではなく、例えば50歳を目途にされてはいかがでしょうか。この場合には19年間あります。仮に19年運用を年3%で続け、貯蓄も継続していくとした場合、運用金額は7,256万円、貯蓄額は6,760万円となり、合計1億4,016万円となります。これだけあれば、多少取り崩しがあったとしてもその後はゆっくり生活できることでしょう。

なお、今を頑張るか、将来まで継続してコツコツやるかの違いであり、アーリーリタイア・セミリタイアを目指されるのも構いませんが、今だからこそお子さんとの時間を大切にされる方がよい部分もあります。そのため、今のまま継続してコツコツ貯蓄をしていくのか、出世はほどほどでよく有給などこなしながら子供と一緒に過ごす時間を多くとりながらある程度頑張っていくのかを決められるとよいと思います。

いずれにせよ、44歳~50歳を目途にアーリーリタイア・セミリタイアを目指されてはいかがでしょうか。給料が今後も確実に昇給する見込みであれば、それも加味してさらに早めのリタイアを目指されるのもよいと思います。早ければ40歳が一つの指標として入ってくるかもしれません。是非ご自身、ご家族にとって楽しい日々が送れますように。

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