平戸市未来創造館「COLAS平戸」 市民に愛され開館5年 図書館利用好調 1人当たり貸出数3倍に

市立図書館には朝の開館と同時に多くの市民が訪れる

 平戸市未来創造館「COLAS(コラス)平戸」が開館5周年を迎えた。「人々が集う場」「生涯にわたる学びの場」「表現し交流する場」という三つの役割を持たせて図書館と公民館などの機能を集約し、市民の文化拠点として定着した。
 未来創造館は2015年8月1日、同市岩の上町にオープン。鉄筋コンクリート2階建て、延べ約2840平方メートル。愛称のCOLASは「にぎやかでやさしい市民のオアシス」を意味する英語の頭文字で、「人が来る」の方言「来らす」の意味も込められている。
 中核は市立平戸図書館。現在の蔵書数は約14万3千冊と、旧図書館時代から倍増。貸出登録者は未来創造館開館当初の約5千人から、今年3月末には約1万5700人に増加。市民1人当たりの図書貸出冊数は旧図書館時代の14年度の2.8冊から、19年度には8冊と約3倍に伸びている。
 旧図書館は現在地から約1キロ離れた戸石川町の旧離島開発総合センターの3階にあったが、エレベーターがなく市民が利用しにくい面があった。未来創造館では駐車場から館内にほぼ段差なく入ることができ、図書館への心理的な距離を縮められたことも利用増につながっているという。
 さらに図書館を訪れるのが難しい高齢者や、点在する集落の市民にも読書を楽しんでもらおうと、16年度には市内各地の公共施設などで図書館の蔵書を貸し出す「すみずみまで本を届ける事業」もスタート。20年度は小中学校や公共施設、老人福祉施設など46カ所に20~100冊の蔵書を配置。協力事業所の中にはコンビニも含まれ、街角に図書館機能のネットワークが広がっている。
 未来創造館の開館に合わせて、市民有志による平戸図書館友の会も発足。映写会やコンサートなどのイベントの企画運営や、備品の寄贈などで図書館を支えている。
 窓外に勇壮な平戸瀬戸の風景が広がり、「日本で一番海の景色がきれい」なのも現図書館の特色の一つ。友の会の丹澤明会長は「海を見ながらのんびり過ごせる。これまで平戸になかった空間」とアピールする。
 未来創造館のもう一つの主要機能が同市北部公民館。130人収容のホールや会議室3室などがあり、40以上の生涯学習講座が活動。同公民館利用団体連絡協議会の小楠一二三会長は「未来創造館は市民の社会教育に欠かせない。これまで参加したことがない人たち、特に高齢者にもっと利用してほしい」と呼び掛ける。
 小川茂敏市教育長は「貸出登録者数や貸出冊数などは大幅に伸びており、図書館が市民に愛されていると感じる」とこの5年間を評価。市は策定中の次期教育振興基本計画の柱の一つに郷土学習強化を据える方針で、「未来創造館、中でも図書館の役割が大きくなる」としている。

市民の教育学習拠点として開館5周年を迎えた市未来創造館=平戸市岩の上町

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