巨人が“3度目の正直”で中日ロドリゲスを攻略 専門家が指摘する打線の変化とは?

巨人・坂本勇人【写真:Getty Images】

過去2戦では計17奪三振を喫した天敵ロドリゲスをついに捉える

■巨人 12-3 中日(29日・東京ドーム)

巨人が、中日先発のヤリエル・ロドリゲス投手から2回に5点を奪い、12-3で大勝した。8月2日に支配下登録されたロドリゲスとは、早くも8月3度目の対戦。過去2戦は抑えられていたが、この日は下位打線からの4連打などで、キューバ人右腕をついに攻略した。現役時代、巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球評論家の松本匡史氏は、攻略の理由について「各打者が動くボールに対応し、しっかり引きつけて逆方向に打てたこと」と解説した。

巨人打線が、天敵になりつつあった中日ロドリゲスを、3度目の対戦でついに攻略した。1軍での来日初登板となった8月9日には、6回1/3、2安打2得点。15日の対戦も7回6安打1得点に抑えられ、2試合で17三振を喫するなど、苦手意識のあったロドリゲス。右、左、下と3方向に動く直球と2種類のスライダーに翻弄されていたが、この日は違った。

初回は動く直球中心の組み立ての前に、無得点に抑えられたが、打線が2回にロドリゲスを捉えた。1死から中島が四球を選ぶと、大城が内角への直球を逆らわずに右前打。若林も外角のスライダーを中前にはじき返した。そして今村が内角から真ん中に甘く入ってきた153キロの直球を捉え、三遊間を抜く同点の左前適時打。さらに坂本が外角のスライダーを中前に運ぶと、大島が後逸。3点を勝ち越すと、2死一、二塁のチャンスで岡本もスライダーを左前適時打とし、5点目を奪った。

「ポイントを近くして、詰まりながらでもしっかり引きつけて逆方向に打つこと」

松本氏はこの日のロドリゲスについて「立ち上がりは直球が動いていて非常に良かった。2回に変化球が多くなり、丸を打ち取り、中島にストレートの四球を与えた後、リズムを崩していった」と印象を語る。そして「巨人打線がしぶとく粘りつつ、甘い球をしっかり捉えた」と分析。その中でポイントとなったのは、各打者が打席でボールを捉えた位置だったという。

「投手の今村は抑えて当然のところだが、今村がボールにしっかり食らいついていった。各打者が逆方向に打てたのが結果的によかった。動くボールを引っ張ると、ボテボテになったり空振りも起こり得る。おっつけるバッティングで臨んだことが打てた要因。打者は流れの中で変化球が多くなったと感じていただろうし、彼の直球は速く、動くので、前さばきで打つと空振りが多くなる。ポイントを近くして、詰まりながらでもしっかり引きつけて逆方向に打つことができたから、結果的に連打につながっていったのではないでしょうか」

打者一巡の猛攻で、一気に試合をひっくり返した巨人打線。今村の同点打の後も、上位打線が得点を重ねていったことが、結果的にロドリゲスの4回での降板にもつながった。

松本氏は言う。「相手の失策も絡んで5点が入り、2回で試合が決まってしまったが、2、3点だけだったらロドリゲスがその後、復活していた可能性もある。打順が回ってきて4回で降板となったが、点差が少なければもっと投げていたかもしれないし、接戦になっていたかもしれません」。

ロドリゲスを、4試合目の登板で自己最短となる4回で降板させた巨人打線。過去2試合は動く直球に翻弄されたが、この日は中日バッテリーの配球の変化を打線が感じ取り、対応したバッティングを徹底したことが、勝利につながった。(Full-Count編集部)

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